第67回全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝) |
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開催日時 | 2023年01月01日(日曜日) |
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開催地 | 群馬県庁~群馬県庁 7区間 100km |
1位 | Honda | 4時間48分06秒 |
2位 | 富士通 | 4時間48分52秒 |
3位 | トヨタ自動車 | 4時間50分10秒 |
1区(12.3km) | 塩澤稀夕 | 35分36秒(区間4位) |
2区(8.3km) | べナード キメリ | 22分11秒(区間5位) |
3区(13.6km) | 坂東悠汰 | 38分48秒(区間16位) |
4区(22.4km) | 横手健 | 1時間4分43秒(区間4位) |
5区(15.8km) | 塩尻和也 | 45分58秒(区間2位) |
6区(11.9km) | 浦野雄平 | 35分23秒(区間4位) |
7区(15.7km) | 潰滝大記 | 46分13秒(区間2位) |
11月の東日本実業団駅伝で3連覇を成し遂げて挑むニューイヤー駅伝。「3区の坂東悠汰でトップに立ちたいですが、他も強いですので、そこまで甘くないでしょう。4、5、6区で順位を上げていき、欲を言えば6区終了時に後ろを最低でも20秒引き離したいですね」と、レース前に髙橋健一監督は2年ぶり4回目の優勝へのシナリオを語っていた。
1区を任されたのはニューイヤー駅伝初出場の2年目、塩澤稀夕。東海大学時代に学生駅伝で1区の経験のあるスピードランナーだ。序盤、レースはスローに進んだが、その中で力を貯めるかのように集団の中ほどで展開。しかし10kmを過ぎて先頭争いが活性化すると、ポジションを上げて先頭グループに加わった。最後のスパート合戦ではわずかに先行を許したが、トップと1秒差の4位でつなぎ、幸先の良いスタートを切った。
2区はインターナショナル区間。前回、体調不良で出場できなかったキメリ ベナードはタスキを受けるとすぐに先頭争いに加わる。しかし14人ほどになった大集団はお互いにけん制しあっているのか、ペースが上がらない。ただ4km手前で後方からベナード コエチ選手(九電工)が迫り、集団内でトップに立つと一気にペースアップ。それもあって6kmを過ぎると先頭争いは5人に絞られる。キメリはその中に留まり、先頭と6秒差、3位とタイム差なしの4位で中継した。
3区、坂東悠汰は2大会前の優勝時、ここで3つ順位を上げている。序盤は単独で3位を走行し、前を走るSUBARUと三菱重工を追うが、5km付近で後続の選手に捕らえられると、そこからは苦しい展開。長距離キャプテンとしての意地で粘るものの、順位を落としてしまう。それでも入賞争いに食い止まる走りで、先頭と47秒差の8位に踏みとどまった。この時点で監督ルームにいる髙橋監督は「4区を終わって30秒差ならばまだいける」とコメントし、後続の走りに期待をかける。
4年ぶりのニューイヤー駅伝出場となった横手健はその期待に応えた。過去、2回走った経験を持つ4区で、序盤からハイペースで入ると中間地点の時点で一気に2位グループにまで順位を上げる。残り3.5kmの高林交差点で左折し、向かい風になってからやや苦しくなったがそれでも粘り切り、6位でタスキを繋ぐ。この時点で先頭、Hondaとの差27秒。髙橋監督の狙う射程圏内に入ってきた。
塩尻和也は2大会前の優勝時にもこの5区を担った選手。10月、11月と10000mで2度、27分台で走り、この秋は好調だ。強い向かい風のなか、いつもどおりの積極的な走りで着実に順位を上げていき、6.9km付近でGMOインターネットグループ、三菱重工とともに3位集団に加わる。中継の際には2位の座は譲ったものの、区間2位の好走で先頭と38秒差の3位で中継した。
6区は今季、故障で苦しみ、12月に復帰したばかりの浦野雄平。12月の競技会となる5000mで自己ベストを出すなど、復帰後の状態はいい。どんな展開でも対応できる駅伝力の高さを見せるかのように、最初の1kmでGMOインターネットグループをかわし、2位に浮上。そこからもハイペースで先頭を追うが、後半にややペースダウン。2位の座をキープしたものの、トップとの差は46秒と広がり、最終区へ優勝の望みをつなぐ。
「前だけ見て攻めるように」と髙橋監督から指示を受けて走り出した7区潰滝大記。その言葉を体現するかのうように、ひたすら攻めの走りを貫いた。終始、単独走だったが気持ちを切らすことなくハイペースで刻み、ベテランらしい走りで群馬県庁を目指す。そして先頭とのタイム差を広げられることなく2位を維持し、フィニッシュを迎えた。
「優勝したHondaとの差は少しだったと思います。私たちも悪かったわけではありませんが、ほとんどの区間で少し上にいかれてしまいました」
レース後、髙橋監督はそう振り返った。冒頭の言葉にあった通り、前半で先頭に出るのが理想と考えていたが、後半区間でも十分に逆転できる戦力だと考えていたという。それだけに4区、横手を終えた時点では後半の選手達に期待し、まだ優勝を狙えたと思えたが、相手がそれを上回ったと完敗を認めた。
今回は2大会前の優勝メンバーの中村匠吾と鈴木健吾の2名がエントリーから外れ、また松枝博輝も出走の機会がなかった。だが新戦力の塩澤が好走し、横手も復活。またニューイヤー駅伝で出場機会こそなかったが、1年目の椎野修羅、飯田貴之も年間を通して成長した姿を見せた。惜敗ではあるが、来年に向け、期待の持てる2位であることも事実だ。
「優勝を目指していましたので結果は悔しいですが、見ていてドキドキする駅伝ができたと思います。引き続き、個人としの力を高め、また優勝を目指せるチームを作ります」
指揮官はそういって笑顔で締めくくった。
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直前の練習の調子が良く、何がなんでも区間賞を狙おうと思っていましたので、結果としては満足のいくものではありません。ただ先頭と1秒差でしたので最低限の結果は残せたかなと思います。内容を見ればラストで競り負けたことは課題です。この経験をもとにさらに強化を進め、来年こそは区間賞でチームに貢献したいです。
前回出られませんでしたので、1年間この駅伝にフォーカスして練習をしてきました。チームとしても勝つためのスピリットを持っていましたし、レースでも全員が力を発揮したと思っていますが、勝てなかったことは残念です。来年こそは絶対に勝ちたいですし、またこのチームで頑張っていきたいと思っています。
私自身、前回のニューイヤー駅伝を走れず、チームも12位でしたので優勝だけを目指して走りました。(優勝した)2大会前のように追いつき、引き離す走りを求められていましたが、結果的に足を引っ張ってしまいました。ただ沿道の皆さんの応援を力に走り切ることができましたので、これからも前を向いて頑張っていきます。
勝てなかったのでやはり悔しいです。個人的にも15kmを過ぎてから、足が攣ってしまって、かなりタイムをロスしてしまいましたし、全体的に冷静さを欠いたレースをしてしまったと思います。今回走って、また4区で勝負したいと思えました。個人として結果を求めていくのは当然ですが、駅伝も好きなのでリベンジできるようにこれからも力を高めていきます。
ずっと前の選手が見える位置で走っていましたので、自分が追いついていれば流れは変わったと思います。結果的に先頭とのタイム差を広げられてしまい、後半の2人に負担をかけ、申し訳ないです。優勝できなかったことは残念ですが、前回の12位から順位を大きく上げたので、来年こそ優勝を目指します。そして個人的には5区は今回3回目で優勝した2大会前は区間3位、今回は区間2位なので、次に走る機会があれば区間賞を目標にします。
優勝を目指す以上、前半から前だけ見て走ったのですが、後半に伸びず逆に離されてしまい、チームに貢献できませんでした。ただ2022年はずっと故障で長く走れずにいましたが、こうして戻ってこられたことは嬉しいですし、レースも楽しめました。私自身、1年目に経験したニューイヤー駅伝での優勝は何ものにも変え難い経験として残っていますので、1年間、トレーニングを重ね、また優勝できるように頑張ります。
駅伝でのアンカーは人生で2回目だったので、とても緊張していました。かなり突っ込んだつもりでしたので、前との差が詰まると思ったのですが、なかなか差が詰まらず気持ちが切れかけましたが、フィニッシュで待っている仲間のためにも恥ずかしくない走りをしようと最後まで全力を出し切りました。来季のトラックは3000mSCだけにこだわらず、5000mや10000mまで見据えて走力を上げていくつもりです。