ニューイヤー駅伝 特別インタビュー第3弾 「 坂東悠汰  」

坂東悠汰
「追う展開でも、引き離す展開でも自信がある」

東京2020オリンピック5000m代表の坂東悠汰。日本屈指のスピードランナーとして今やその地位は不動のものだが、昨年後半は「オリンピックで思うような走りができず、結果も出せなかったため、気持ちが滅入ってしまった」と心身のコンディションが上がらず、ニューイヤー駅伝のメンバーにも入ることができなかった。しかし今季は10月に日本ランキング2位となる13分21秒94。12月の「エディオンディスタンスチャレンジin京都2022」では自己ベストの更新こそならなかったものの海外勢を抑えて全体トップゴールするなど、今は上り調子にある。

「この冬は13分15秒を狙っていました。結果的にそこまでいけませんでしたが、練習の質も量もできているので、自己ベストを出した2年前より力がついている手ごたえがあります」と復調の手ごたえを口にする。

今年は長距離ブロックのキャプテンに就任した。普段から他のメンバーともコミュニケーションをとることの多い坂東だが、このポジションについたことでさらに周りの選手と話す機会が増えたという。

「キャプテンになり、普段はあまり練習で一緒になることの少ないマラソン組の先輩たちにも声をかけやすくなりました。特にこの夏、自分は走り込みをテーマにしていましたので、マラソンを目標としている選手のジョグ練習に一緒についていかせてもらうことで、狙い通りに距離を踏めました」と立場の変化をうまく自分の競技力向上に生かしている。

今、目指すのはパリ2024オリンピック。そこに向けても駅伝は重要な位置付けとなっている。

「駅伝に向けた強化の中でロードに強い選手に引っ張ってもらうことが力になっている実感があります。また駅伝で、自分が普段戦わないマラソンランナーや10000mの選手と競り合うことは、国際大会で初めて一緒に走る選手と戦ううえでも、走り方の引き出しを増やせます。レースの中で相手の反応を見ながら、対応力を磨く意味で重要な場だと考えています」

もちろん駅伝への結果へもこだわる。今回のニューイヤー駅伝は中村匠吾、鈴木健吾がエントリーから外れたが「だからといって優勝争いができないとは考えていません。他にも日本のトップレベルの選手が揃っていますので、強さを見せつけたい」と、目指すは頂点のみ。2大会前の優勝メンバーとして、元日までの調整やレース中の対応など、事前に自分の経験を後輩にも伝えている。もちろんレースになれば、自分が優勝への道筋をつけると意気込む。

「駅伝では中盤の区間を任されることが多いのですが、それは追う展開になれば前との差を詰めることができ、また追われる展開になっても後ろを引き離せるところを評価されているからだと思います。その期待に応えられるように走りますし、それができる自信はあります」

前回、富士通は連覇できず、坂東自身も出走の機会を得られなかった。チームとしても個人としても悔しさを持って臨む大会。キャプテンとして責任感と覚悟を持って走るつもりだ。