ニューイヤー駅伝 特別インタビュー第2弾「 横手健」

「何が何でも優勝に貢献する走りをする」

 

2022年、横手健が好調だ。2月の全日本実業団ハーフで1時間1分18秒の自己ベストを出し、日本選手権5000mは万全の体調でない中、6位入賞。11月の東日本実業団対抗駅伝では4区(9.5キロ)で区間新記録を樹立し、優秀選手賞を獲得している。今大会、主要区間での活躍が期待される中心選手のひとりである。

「近年は思うように走れない時期が続いていましたが、昨年に復調のきっかけをつかみました。そこからずっと練習が継続できていることが、今、走れている一番の要因です」

2021年夏に故障なく練習が積めたことがターニングポイントだったと語る。今年は「マラソンへの準備を進める年」と位置付け、夏には久しぶりに40キロ走も行った。マラソン挑戦は入社2年目の2017年度にも予定していたが、故障により見送らざるを得なかった。勢いのあった当時のコンディションに戻りつつある今、覚悟を持って準備を進めている。

 

「トップレベルで競技を続けるために残された時間は少ないと思っています。マラソンをやるには今しかないという危機感と、やりたかったマラソンへ挑戦できる期待感と今は半々の気持ちです。ただマラソンを走ったとしても、今まで通り、トラックでも戦えるスピードも維持していきたいと思っています。ずっと10000mで勝負したいと思っていましたし、5000mもうまくかみ合えば13分20秒を切るまでは出せるはずです」

練習が積めている自信に加え、故障しないフォームの習得も進んでおり、志は高い。入社7年目を迎え、駅伝への意識も変わってきた。

「若い頃は失敗を恐れずに走れましたが、チームにこれだけの選手が揃う中で選ばれ、走ることの意味や重みが理解できるようになり、プレッシャーを感じるようになりました。ただそのプレッシャーを力に変える方法は分かっているつもりです。試合に向かう過程や、試合当日に関係者の方と話をしながら、緊張感や雰囲気を楽しみ、意図的にリラックスするようにしています」

以前から力を発揮するために、周囲と会話をしながら気持ちをコントロールしていたが、不調の間はレース前にメンタル面での余裕を持てなかった。だがその間も意識的に多くの関係者や、チームメイト、そして会社の同僚などとコミュニケーションをとることで助けられたと話す。

2大会前の優勝時にメンバーになれなかっただけに、今大会にかける思いは強い。

「自分自身の競技生活を振り返っても駅伝の優勝経験は多くありませんし、そもそも富士通に入社したのは駅伝で勝ちたいということも大きな理由のひとつです。今回は主要区間で役割を果たし、何が何でも優勝に貢献するという強い気持ちで走ります」

マラソンを見据えながら、引き続き、トラックでも戦う。走りのモデルチェンジが進む中で望む駅伝になるが、考えるのはチームの優勝のみ。それをつかみ、気持ちよく個人としてさらなる高みを目指すつもりだ。

第63回東日本実業団駅伝 区間賞(4区)と優秀選手賞を受賞