第70回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 |
|
開催日時 | 2022年09月23日(金曜日) 〜2022年09月25日(日曜日) |
---|---|
開催地 | 岐阜県岐阜市 岐阜メモリアルセンター長良川競技場 |
男子1500mタイムレース
総合
1位 | 青木涼真(Honda) | 3分40秒90 |
2位 | 野口雄大(トーエネック) | 3分42秒08 |
3位 | 坂東悠汰(富士通) | 3分42秒46 |
⋮ | ||
9位 | 松枝博輝(富士通) | 3分45秒68 |
総合
1位 | スタンネリー ワイザカ(ヤクルト) | 27分19秒86 |
2位 | リチャード キムニャン(日立物流) | 27分19秒92 |
3位 | べナード コエチ(九電工) | 27分20秒02 |
⋮ | ||
40位 | 飯田貴之(富士通) | 29分09秒84 |
1位 | 池田向希(旭化成) | 38分15秒86 ※大会新記録 |
2位 | 丸尾知司(愛知製鋼) | 39分05秒73 |
3位 | 野田明宏(自衛隊体育学校) | 39分07秒08 |
⋮ | ||
4位 | 村山裕太郎(富士通) | 39分24秒64 |
10位 | 荒井広宙(富士通) | 41分54秒02 |
1位 | 泉谷駿介(住友電工) | 8m00(+0.3m) |
2位 | 橋岡優輝(富士通) | 7m95(+0.5m) |
3位 | 山川夏輝(佐賀スポ協) | 7m71(+1.0m) |
1位 | 藤井菜々子(エディオン) | 45分44秒91 |
2位 | 岡田久美子(富士通) | 46分07秒13 |
3位 | 熊谷菜美(関彰商事) | 47分11秒75 |
男子200m予選
1組(+1.1m)
3着 | 佐藤拳太郎(富士通) | 21秒08 決勝進出 |
1位 | 伊藤孝太郎(東京ガスエコモ) | 20秒86 |
2位 | 佐藤風雅(那須環境技術センター) | 20秒87 |
3位 | 安田圭吾(住友電工) | 20秒94 |
⋮ | ||
5位 | 佐藤拳太郎(富士通) | 21秒19 |
総合
1位 | ジョナサン ディク(日立物流) | 13分22秒69 |
2位 | キプランガット ベンソン(SUBARU) | 13分22秒70 |
3位 | モソップ ヒラリー(マツダ) | 13分24秒76 |
⋮ | ||
10位 | 横手健(富士通) | 13分35秒20 (3組10着) |
26位 | 塩澤稀夕(富士通) | 13分54秒87 (3組22着) |
33位 | 潰滝大記(富士通) | 13分56秒84 (2組11着) |
1組(+0.6m)
1着 | 石川周平(富士通) | 13秒72 決勝進出 |
1位 | 高山峻野(ゼンリン) | 13秒39 大会新記録 |
2位 | 石田トーマス 東(勝浦ゴルフ倶楽部) | 13秒60 |
3位 | 徳岡凌(KAGOTANI) | 13秒61 |
⋮ | ||
6位 | 石川周平(富士通) | 13秒85 |
4組
2着 | 岸本鷹幸(富士通) | 50秒58 決勝進出 |
1位 | 岸本鷹幸(富士通) | 49秒94 |
2位 | 高田一就(ROOTS TOKYO) | 50秒09 |
3位 | 尾﨑雄祐(PEACE AC) | 50秒32 |
1組(−0.7m)
2着 | 田中佑美(富士通) | 13秒74 B決勝進出 |
1位 | 小宮いつき(ジーケーライン) | 13秒34 |
2位 | 相馬絵里子(関彰商事) | 13秒44 |
3位 | 藤森菜那(ゼンリン) | 13秒45 |
⋮ | ||
欠場 | 田中佑美(富士通) |
1位 | 住友電工 | 37点 |
2位 | 富士通 | 33.5点 |
3位 | 日立物流 | 23点 |
1位 | 住友電工 | 52点 |
2位 | 富士通 | 40.5点 |
3位 | ミズノ | 40点 |
男子1500mはタイムレース。1組目に登場した松枝博輝はスタート直後から先頭に立ち、400mを59秒、800mを1分59秒で通過し、後続を引き離す。800mから1200mでややペースが落ちたがそのまま最後まで追い上げを許さず、組トップでフィニッシュした。「ペースは決めていなくて、最初の200mだけを抑えてあとは前で走れればと思っていました」と、秋シーズンの初戦で思い通りの走りができたと振り返った。また3組目の坂東悠汰は前週に「TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT IN TOKYO 2022」の1500mに出場していたため連戦となったが、こちらも序盤に集団を牽引し、最後まで粘り切って組3位、総合3位を手にした。「序盤に牽制しそうな雰囲気があったので前に出ました」とこちらも自分の意思でレースを組み立てた。ともに秋にはトラックで記録を狙いつつ駅伝を見据えるが、ここまでは順調と2人のスピードランナーは口を揃えた。
男子10000mもタイムレースで行われ、1組目にルーキーの飯田貴之が出場。スタートして間もなく先頭に立つと、そのまま集団を引っ張り続けた。1000mを2分51秒で通過し、その後はペースを落ち着かせたものの5000mは14分28秒。「後半まで引き切る力は自分にはないと分かっていたので、前に出られた時にどう対応するかを考えていました」とポイントを見定めていたが、6000mを過ぎてから動きが鈍り後退すると、先頭に着ききれなかった。「我慢しきれなかったので、レースとしては良くないです」とフィニッシュ後は唇を噛んだ。富士通1年目の夏合宿は故障なくメニューを消化しており、自信をつけた。まだその疲労が抜けきっていないが、「コンディションが上がれば結果も出てくるはず」と成長を実感している。まずは東日本実業団駅伝のメンバー入りを目指す。
男子10000mWは池田向希選手(旭化成)が抜け出し、独歩を展開。この大会初出場となる村山裕太郎は後続の集団でレースを進めた。「(1000m)3分55秒ペースくらいだったのでそこについていき、行けるところまで行こうと思っていました」と果敢に上位争いを繰り広げる。6000mを過ぎて集団が縦長になってからも3位の座を守っていたが、最終盤にひとつ順位を落とし、4位でのフィニッシュ。30秒以上の自己ベスト更新だが本人は「レース内容がまだまだですので、喜べません」と満足した表情は見せなかった。
荒井広宙はこれが引退レース。最後の直線ではスタンド、選手、そしてチーム関係者から万雷の拍手を受けながらフィニッシュし、競技生活に幕を閉じた。「(練習状況から)思ったよりタイムが出ました」と10位、41分54秒02の結果に照れ笑いの表情を見せた。リオデジャネイロ2016オリンピック男子50km競歩で銅メダルを獲得。オリンピックでの日本競歩界初のメダルという快挙を成し遂げ、翌年のロンドン世界選手権でも同種目で銀メダルと、日本競歩陣が今、世界のトップクラスで戦う土台を作った功労者。「これからもなんらかの形で陸上界に貢献したいです」と爽やかに競技場を後にした。
女子10000mWに出場した岡田久美子は「現状の確認と来年につながるレースをしようと思いました」とスタート直後から藤井菜々子選手(エディオン)と2人で抜け出した。最初の1000mは4分28秒。「できれば(1000m)4分30秒ペースで行きたかったのですが、暑さがあったのでそこからは勝負に徹しました」と様子を見ながら先頭を引き続けた。しかし6000mを過ぎ、ややペースが鈍った瞬間に藤井選手に先行を許すと、そこから逆転できず2位でレースを終えた。「私がキツくなったタイミングを見抜かれて前に出られてしまいました。さすがですね」と悔しげ。これが2022年シーズン最後のレースとなるが、「これまでは専任のコーチがいませんでしたが、今年はチームのスタッフの指導を受けることで、さらに進化していく方法を模索できました」と富士通に入社し最初のシーズンを終えて今後への手応えを得た様子だ。
男子走幅跳には橋岡優輝が出場。1回目ファールの後の2回目に7m95(+0.5m)を跳び2位につける。しかしそこから4回連続してファールが続き、そのままの順位で試技を終えた。「助走の出だしが力任せだったので、乗り込み重視へと修正しましたが、4本目以降で記録を狙って力を入れたら、その技術的な部分がうまくいかなかったです」と振り返った。一方で収穫もあった。「オレゴン世界選手権決勝(10位、7m86)でも2回のファールは少し力任せになり過ぎていたことが今になって分かってきました。次に繋げられるはずです」と悔しい結果にも前を向いた。
400mメイン種目としている佐藤拳太郎はスピード強化のため今大会は200mに出場。予選1組は21秒08(+1.1m)で3着。2着+2で決勝に進む条件だったため、着順ではなくタイムによる決勝進出となった。決勝は後半にやや動きが鈍ったが崩れることなくまとめ、21秒19(-1.2m)で5位に入った。「コンディションは良くなかったですが、さすがにこのタイムは遅いです」とフィニッシュ後は渋い表情を見せた。代表入りを逃したオレゴン世界選手権では日本の男子4×400mリレーチームが4位でアジア新記録を樹立した。「嬉しいと思いつつも、あの場に自分がいられない悔しさがとても大きかった」と話す。今後も200mのスピードを高めていくが、次週のAthletics Challenge Cup 2022は400mに出場予定。その結果と内容を見て、冬季練習の方針と計画を立てたいと話した。
タイムレース決勝3組で行われ、2組目に潰滝大記が出場。先頭が1000mを2分46秒で通過する中、集団の後方に位置取り、レースを展開した。そして3000mを過ぎてから徐々にポジションアップ。ラスト1周でも順位を上げて組11位でフィニッシュした。「直前のスピード練習ができていなかったので不安でしたが、スタミナ部分で我慢できるところを感じられたので良かったです」と手ごたえを得た様子だ。このレースで刺激が入ったことで体がどう変化するかを見て対応していきたいと、ベテランらしく冷静に先を見据えた。
3組目には横手健と塩澤稀夕が登場。海外勢が1000mを2分43秒で入ったが、2人は集団中盤でレースを進めた。先頭が3000mを8分8秒で通過した後に、横手は少しずつ前へと位置を上げていき、逆に塩澤は位置を下げていく。横手のピッチは最後まで衰えず、持ち味のラストのスプリント力も発揮し、組10位、全体でも日本人3位に入った。「夏はロード中心の練習でしたので、出来すぎです」と本人も驚く好結果。秋のトラック、そして駅伝へと弾みをつける走りだった。塩澤は組22位。「夏合宿から調子を落としていて厳しい戦いになることは覚悟していました」と振り返る。次は次週のAthletics Challenge Cup 2022。トラック5000mでは13分30秒を切るという目標がある。駅伝メンバー入りのためにもインパクトのある走りをしたいと気丈に前を向いた。
キャプテンの石川周平は予選1組を13秒72(+0.6m)で1着に入り、問題なく決勝に進出。しかし決勝ではスタートこそ反応良く出たが、強みである中盤からの伸びを欠き、6位でレースを終えた。「連戦で体の状態が良くなかったので、記録を狙えないにしても、なんとか順位を取りたかったです」。8月から9月にかけて海外遠征を行い、帰国後に調子を落としていたという。思うように走れなかったことに悔しさをにじませた。今後は国体の出場を予定しているが、まずはコンディションの回復に努めるとのこと。本来の走りの感覚を取り戻し、気分良く冬季練習に入りたいと話した。
予選を50秒58で通過した岸本鷹幸は決勝、9レーン。スタートから鋭い出足を見せて加速し、リードを奪う。最後の直線に入ってからも後続を引き離し、49秒94で制した。日本選手権は過去5回の優勝があるが、全日本実業団は初タイトルとなる。「シンプルに嬉しいですし、勝つこと自体が久しぶりだなと思ってフィニッシュしました」と破顔一笑。レース内容も前半から攻める感覚を取り戻しつつあるという。「今季前半に負った怪我の影響もありますが、突っ込めなかったのは半分は気持ちの部分です。今日、いい感触を得られたのでもっと記録も狙っていきます」と今季中に49秒台前半、そして48秒台まで記録を伸ばしたいと語った。
予選1組に出場した田中佑美は13秒74(-0.7m)で2着。B決勝に回ったが、コンディション不良のため欠場し、これをもって2022年シーズンが終了となった。「7月に故障し、回復後も別の場所を痛めるなどで練習もほとんどできませんでした」と振り返る。今季は日本選手権3位に入るなど大きく飛躍したシーズン。この大会中にも日本記録が更新されるなど、日本の女子100mHのレベルアップが進んでいる中、その流れに乗っていくため、「まずは自分のアベレージを上げていきたい」と着実な成長を目指している。来年のブダペスト世界選手権出場に向け、海外遠征も計画中。冬を経て、さらに強くなりたいと来季を見据えた。
「夏も順調にトレーニングが積めていて、ここから試合に出ていくことを考えれば、このくらいかなといった印象です。今年も5000mで秋に記録を狙いますが、その流れ(強化)と駅伝は結びついていますので不安はありません。5000mでしっかりタイムを出すことを目指し、その先に駅伝の結果、そして来年の世界選手権の日本代表が手にできればと思っています」
「来週の「Athletics Challenge Cup 2022」の5000mに出場を予定していて、スピードレースの一環として2週続けて1500mに出ました。トラックでも記録を狙いますが、昨年は自分はニューイヤー駅伝に出られませんでしたし、中・長距離ブロックのキャプテンですので、まずは駅伝メンバーに入ることを第一に考えながら、今後の試合も組んでいきます」
「400mも世界的に高速化が進んでいて、200mのスピードがないと通用しないと思い、最近はこの種目にも積極的に出るようにしています。ただ今回は納得できる結果ではありません。今季中に20秒6台か7台まで出し、パリまでには200mでも国内トップレベルで戦えるくらいの力をつけないといけないと感じています。引き続き、スピード強化をしていきます」
「今日は粘り切って13分40秒から45秒くらいで走ることを想定していたので、いいレースができました。夏は久しぶりに40㎞走に取り組むなど、距離を踏むイメージでやってきて、納得のいく練習ができています。昨年の東日本実業団駅伝はメンバーに入って優勝できましたが、自分は前の区間の選手が作った流れを引き継いだだけだと思っているので、今年は主要区間を走って貢献したいです」
「後方でレースの流れについていきましたが、ペースも速くなかったので中盤から上げていきました。体に刺激を入れる意味では目的は果たせたと思います。次は東日本実業団駅伝メンバーに入ってチームの優勝に貢献することと、10000mで27分30秒台を目指します」
「今季は3000mまで先頭にいてそこから離れてしまう展開が多かったので、思い切って後ろから行ってみようと思いましたが、うまくいきませんでした。駅伝のためにもこれからは信頼して起用してもらえるようなレースをしなければと思っています。そして東日本実業団駅伝のメンバー入りを勝ち取り、そこで区間賞を取ってニューイヤー駅伝につなげたいです」
「キャプテンとして上位に入って総合優勝に貢献したいと思っていたので、悔しい結果です。今年は練習の流れと試合での感覚が合わずに苦労していますが、オレゴン世界選手権にも出られましたし、いろいろな経験をしながら学べています。シーズンの最後までしっかり走りたいと思います」
「優勝は嬉しいですが、安部孝駿選手(ヤマダホールディングス)、松下祐樹選手(ミズノ)と戦友が引退するレースですので寂しい気持ちもあります。今は故障もなく、練習もできているので来週のAthletics Challenge Cup 2022やその後の国体など、出られる試合はすべて出ていくつもりです」
「準備不足でしたが、チーム戦なのでなんとか貢献したかったということと、一本レースを走って冬季練習に入りたいという思いで出場しましたが、B決勝は無理をせず欠場させていただきました。冬季はスプリント力など足りないところを補いつつ、自分の武器である減速しないハードリング技術を磨いていくつもりです」