第64回東日本実業団対抗駅伝競走大会 |
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開催日時 | 2023年11月03日(金曜日) |
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開催地 | 埼玉県庁 |
1位 | 富士通 | 3時間41分06秒 ※大会新記録 |
2位 | Honda | 3時間42分40秒 |
3位 | ロジスティード | 3時間42分48秒 |
大会前日に発表された最終オーダーには、昨年の優勝メンバーから5人が入り、そこに実業団駅伝デビューとなる新人の伊豫田達弥、2年目の椎野修羅が加わった。
「4区を終えて、30秒のリードを持つことができれば、勝つチャンスがある」
勝利を目指す高橋健一監督は、レース前にそんな話しをしていた。
序盤に自衛隊体育学校の増田空選手が飛び出しレースを引っ張る展開となった1区。松枝は2位集団でレースを進め、中盤からは集団の前に出て先頭を追った。7km過ぎに先頭が吸収され集団になると、徐々にペースアップ。10kmを過ぎ、ラストスパートがかかると、松枝は徐々に集団から離されてしまう。それでも粘りをみせて、トップと14秒差の区間10位で走り終えた。
インターナショナル区間の2区は、べナード・キメリが登場。序盤で先頭に追いつくと、ホンダのイェゴン・ヴィンセント選手とヤクルトのスタンネリー・ワイザカ選手と共に先頭集団を形成。中盤に入ると、キメリが集団から抜け出しトップを走る。だが、終盤に差し掛かるとスバルのキプランガット・ベンソン選手が追いつき、ラストは2人のデットヒートに。最後はベンソン選手がわずかに前に出て襷リレー。キメリはタイム差なしの2位で中継、区間2位のタイムで走った。
16.5kmの最長区間を託されたのは坂東。序盤はスバルとヤクルト共に集団を形成し、坂東が引っ張る展開に。5kmを過ぎると、後続の3チーム、Kao、コモディイイダ、ホンダが追い付き、6人の集団となる。ホンダ、スバルの選手が飛び出しては集団が吸収する駆け引きが続くと、徐々に坂東の顔が険しくなる。終盤に、さらに後方の選手が追い付くと、そのタイミングでヤクルト中村大聖選手とKao長谷川柊選手がスパート。一時は先頭集団から遅れをとった坂東だったが、中継所を前に粘りを見せて、トップと10秒差の3位で中継した。
中継後は、1位kao、2位ヤクルト、3位に富士通と、ほぼ等間隔の差があったが、2km過ぎにヤクルト吉川洋次選手と塩尻の2人がトップに追い付く。塩尻はすぐに3人の先頭グループから抜け出し淡々とペースを刻み、リードを広げていく。区間タイ記録(区間賞)となる走りをみせ、2位に11秒の差をつけてトップでの中継に成功する。
スタートから単独走となった5区横手。「さらに差を広げようと、序盤から突っ込んでいった」というように、力強い走りで、後続との差をどんどん広げていく。最後まで積極的な走りをみせ、区間賞を獲得。2位との差を51秒にまで広げ、ルーキーの伊豫田へと襷をつないだ。
51秒差で襷を受けた伊豫田。「差があることはわかっていたけど、それがどのくらいかはわからなかった」と、差が開いたことで自分の走りに集中できたという。イーブンペースを刻む軽快な走りで、6区10.6kmを30分02秒の区間賞の走りで走破。2位とのリードを1分23秒に広げて、アンカーへ椎野へとつないだ。
最終7区は2年目の椎野が4連覇へと突き進んだ。入社後初めてレギュラー入りした駅伝とあって緊張していた部分があったが、スタッフから「1分30秒のリードがある、リラックスしていけ」とアドバイスを受け、「落ち着くことができた」という。競技場では控えメンバーやチームスタッフに見守られる中、トップでフィニッシュテープを切った。
2位に1分34秒の差を付け、4年連続6度目の優勝となった。レース後の高橋監督は、「ほぼプラン通りだった」と笑顔を見せる。
当初は、4区の塩尻を終えて30秒のリードがあればいけると踏んでいた。その理想には少し届かなかったが、4区塩尻、5区横手、6区伊豫田と3区連続で区間賞を獲得し、7区椎野も区間2位の走りで期待に応えた。また、塩尻は今大会のMVPも獲得した。高橋監督は「後半の選手たちがよく頑張った」と労った。
今年は、MGCによる特別ルールが設けられ、完走すればニューイヤーへの出場権は確保できた。無理をしないという選択肢もあった中、高橋監督が選んだのは、今のベストメンバーを組むことだった。「完走すればいいといっても、不甲斐ない走りをしては次につながらない。ニューイヤーで勝利するために、チームの士気を高めるためにも、全力でレースに挑み勝利することは大事」と話す。
その中心となったがキャプテンの坂東だった。高橋監督は、「9月には最長区間でいくと本人に伝えていました。キャプテンとして夏合宿を引っ張っていましたから」と、1番にメンバー入りしたと明かす。
来年1月のニューイヤー駅伝では3年ぶりの優勝を目指す。「今回、優勝できたからといって簡単に勝てると思っていません。競合チームもガラリとメンバーが変わるでしょうから。チーム内の競争が激しいので、上手く調整していきたいですね」。この勢いを持ってニューイヤーに挑む選手たちに期待が膨らむ。
今年から新たなトレーニングを取り入れ、その手応えを感じていた中でのレース。理想とする結果を得ることができず、不甲斐なく思っています。ただ、悔しい思いをしたことで気が引き締まりました。昨年は走ることができなかったニューイヤー駅伝。今年はチームに貢献する走りがしたいです。
2区はコースも熟知しており、襷を受け取ってからは少し速いくらいのペースで突っ込みました。今年は高橋監督から「勝ちに行くぞ」と言われていたので、先頭グループに追いついたあとも富士通らしい積極的な走りをしました。区間賞が取れなかったのが悔しいが、ニューイヤー駅伝では、先頭を走りチームに貢献したいです。
駅伝で15km以上走るのは久しぶり。緊張していましたが、夏合宿で誰よりも距離を踏み、自信を持って挑みました。「10kmまでは何もしない」と当初考えていましたが、集団を自分が引っ張る形になり、後半に苦しくなってしまいました。それでも、中継所を前に塩尻が見えたとこで、最後に力が湧いて粘ることができました。元旦のニューイヤー駅伝に向けてもっと成長して、みなで王座を奪還したいです。
襷を受けた時点で、大きなタイム差がなく、先頭が見えていたので、「必ずトップに立つ」と意気込みスタートしました。そのプラン通りに行きましたが、前半で早く追い過ぎたこともあり、後半にペースを落としてしまったのは反省点です。欲を言えば、あと10、20秒は離したかったです。この経験をニューイヤー駅伝で活かして、ベストな状態で挑めるように調整していきたいです。
後ろには若い2人が待っているので、なんとか貯金を作って襷を渡したいと思っていました。11秒の差があったものの、もっともっとリードを広げようと、スタートから突っ込み気味に入っていったのが良かったと思います。今回は一番距離の短い区間で比較的に楽なところを走りましたが、ニューイヤー駅伝では主要区間で勝負したい。そこでチームに貢献する走りができるように取り組んでいきたいです。
先輩たちが後続が見えないところまで離してくれたので、力むことなく、落ち着いて走ることができました。区間賞を取れたのは素直に嬉しいですが、それもいい流れで襷をもらえたからだと思っています。チーム内の選考が厳しい中で駅伝メンバーに入り、なんとか結果を残すことができました。ニューイヤー駅伝でもメンバー選考に絡めるように準備していきたいです。
スタート前にスタッフから「後ろとの差があるからリラックスしていけ」と言われ落ち着くことができました。襷を受けた時は、久しぶりの駅伝を走る嬉しさと「追いつかれたらどうしよう」という不安がありましたが、区間記録のペースを意識しながらリズムよく走れました。前々日に高橋監督からメンバー入りを告げられ驚きもありましたが、走る準備はしていたので、自分にとってはチャンスだと思って挑みました。区間は2位でしたが、2位のホンダ中山顕選手に差を詰められたので力不足も痛感しています。ニューイヤー駅伝のメンバー入りは熾烈ですが、選手に選ばれるように、これから1日1日の練習を大事にしていきたいです。