第107回日本陸上競技選手権大会・35km競歩
|
|
開催日時 | 2023年04月16日(日曜日) |
---|---|
開催地 | 道の駅輪島ふらっと訪夢(スタート/フィニッシュ) |
1位 | 野田明宏(自衛隊体育学校) | 2時間23分13秒 ※日本新記録 |
2位 | 丸尾知司(愛知製鋼) | 2時間25分49秒 |
3位 | 川野将虎(旭化成) | 2時間26分51秒 |
… | ⋮ | |
途中棄権 | 松永大介(富士通) |
1位 | 岡田久美子(富士通) | 2時間44分11秒 ※日本新記録 |
2位 | 園田世玲奈(NTN) | 2時間44分25秒 |
3位 | 渕瀬真寿美(建装工業) | 2時間57分51秒 |
ブダペスト2023世界陸上の即時内定を勝ち取るには、川野将虎(旭化成)を除く最上位に入ることが必要となる松永大介が男子35kmに挑んだ。レースは、1km4分5秒のハイペースで幕が開け、松永を含む4人がすぐに先頭集団を形成。その中で、松永は最後尾にポジションし、様子を伺いながら周回を重ねていく。5kmを20分44秒で通過後は、一旦遅れをとったものの、7km過ぎに再びトップ集団に追いつき、今度は先頭に立ってレースを引っ張っていく。10kmは41分18秒、十分に日本記録を狙えるペースで通過。だが、14キロを過ぎたあたりで徐々に遅れ出し、15kmは先頭集団から16秒遅れで通過。先頭の3人を追って単独走を続けたが、「思ったほど体調が戻りきっていなかったので、大事をとって早めに決断した」と、20キロ手前で棄権となった。
レースは25キロ付近で野田明宏(自衛隊体育学校)がロングスパート。そのまま2位以下との差を広げてフィニッシュ。派遣設定記録(2時間27分30秒)を突破する2時間23分13秒の日本新記録で世界陸上の代表内定をつかみ取った。
岡田久美子にとって、ブダペスト2023世界陸上の即時内定をつかむには、派遣設定記録を突破して最上位に入ることが必要となるレース。大会前には初となる35km競歩も「この挑戦に対してワクワクしている」と自信をのぞかせていた。スタート直後からすでに派遣設定記録を突破している園田世玲奈(NTN)とのマッチアップとなった。岡田の後ろにピタリと園田が付く展開で、5kmを23分42秒、10km47分33秒、15kmで1時間11分9秒、そして20kmも1時間34分45秒と、1km4分40秒前半のラップを刻んでいく。
レースが動いたのは24km過ぎだった。それまで岡田の後ろに付けていた園田が前に出てペースアップ。この日、初めて4分40秒を切るラップでロングスパートをかけると、その後の3kmも、4分32秒、4分34秒、4分33秒とペースアップ。勝負に出た園田に対し、「想定外のペースアップだったけれど、冷静になって後ろについていけた」と岡田も離されずについていく。そしてラスト3kmを切ると、岡田がスパート。2位の園田に7秒差をつけ、日本新記録&派遣設定記録を突破し優勝。世界陸上代表内定を勝ち取った。
松永 大介
体調を上手くあわせることができず、20km手前でレースをやめる決断をしました。レース前は、4分10秒のペースでも余裕を持っていける想定をしていましたが、いざ始まってみると、最初の5キロは注意数が多く、「自分のリズムを取り戻そう」と、少し後ろに下がって調整。再び、先頭集団に追いつき挑みましたが、思ったように体が動かず、また追いつくために脚を使ってしまったこともあり、途中棄権を選択しました。2月の日本陸上競技選手権大会20km競歩のゴール直後に体調を崩し二日ほど入院しましたが、3月から練習は再開できていました。今大会を大きな目標としていたので、欠場することは考えていませんでしたが、うまく調整することができず悔しさが残っています。今は一旦休んで、5月の東日本実業団陸上競技選手権に出場できるよう練習していきたいです。
最低でも参加標準記録、チャンスがあれば派遣設定記録の突破を狙って挑んだ初の35km競歩。想像していたよりも、良い結果を残すことができて嬉しく思っています。2月の日本選手権20km競歩では、納得のいくレースができなかったので、今日は「結果を残したい」という思いを強く持っていました。25kmで園田さんが出たのは想定外でしたが、「負けたくない」という気持ちでしっかりマークしてついていったのが、良かったと思っています。初の35km競歩は、後半に足が重くなり、動かすのがやっとという状況でした。その中で、日本記録が更新できたのは、私一人の力ではなく、園田さんをはじめ、他の選手がいてくれたことが大きかったと思います。そしてアジア記録を更新した劉虹選手(中国)は憧れの選手。2時間40分を切る記録を目の当たりにして刺激になっています。世界陸上では順位(上位入賞)を意識したレース展開が予想されます。これから勝負強さを磨いて世界で戦う準備をしていきたいです。