2025-26シーズン開幕前インタビュー
キャンプテン 宮澤夕貴
――まずは改めて昨シーズンを振り返っていただきたいのですが、Wリーグを連覇して、皇后杯も17大会ぶりに優勝、2冠を達成しました。チームとしては何がよくて、どういったところが成長したと思いますか?
宮澤 どんなときでも、みんながチームのために頑張れるところが良かったと思います。チームで守って、チームで攻めるという、言葉だけで聞くと当たり前と思われるかもしれませんが、最後までそれを遂行できたのかなと。どのチームよりも一体感があったとも思いますし、だからこそチームみんなで成長できたことが2冠につながったのだと思います。
――昨シーズンは#7林(咲)選手が長期離脱を余儀なくされています。そうしたアクシデントにもチームで乗り越えることができたというわけですね。
宮澤 そうですね。昨シーズンだけでなく、近年のレッドウェーブは誰かが怪我をしたときに誰かがその穴を埋めて、その怪我をした人が戻ってきたときにチームのレベルがもう一段階上がるのを感じていました。加えて、直近の2シーズンはベンチからスタートすることの多い選手たちが、日々の練習からステップアップしようと頑張ってくれていて、それがまた、いい練習につながっているなと感じます。

――それを踏まえて10月18日(土)から新しいシーズンが始まります。チームの現状はいかがですか?
宮澤 率直に言えば、まだまだディフェンスが安定していないと感じています。ヘッドコーチや何人かの選手が入れ替わったことがその原因ではなく、チーム全体として、40分間、レッドウェーブのディフェンスをやりきれていないように思います。もちろんできているところもありますし、実際にパクシンジャカップを経て、徐々に良くなっている実感もあります。だからこそ、もっと固くしていかなければいけません。オフェンスについては、シィさん(#11前澤)が現役復帰をしたことでカッティングが増えて、昨シーズンにはない強みになるのかなと思います。
――ディフェンスの修正が要因なのか、パクシンジャカップでは2年連続で優勝しています。
宮澤 はい。でもパクシンジャカップは終始課題の多い大会でした。ディフェンスがよくなってきたと言いましたが、かといって劇的によくなったわけではないんです。先ほども言ったとおり、40分間遂行しきれない、いいときもあれば悪いときもあるのが今の弱点です。そうしたなかでもみんなが下を向くことなく、頑張り続けるところは、ここ数シーズンと同じようにできていて、チームとしてはいい方向に進んでいるように思います。
――それを踏まえて今シーズンの展望を聞かせてください。まずは今シーズンの目標をどこに置いていますか?
宮澤 もちろんWリーグ3連覇と皇后杯2連覇を合わせた2年連続の2冠です。
――そのための鍵は何でしょう?
宮澤 リバウンドだと思います。実際にパクシンジャカップでもディフェンスリバウンドが課題として残りました。相手に15本も20本も多く取られていたわけではないんですけど、取られている場面がよくありませんでした。たった1本でも、それで相手に流れが移ることもあるので、ゲームの大事な場面でいかにリバウンドを抑えられるか。今シーズンはいくつかのチームに新たな外国籍選手が入ってきて、その多くがビッグマンです。私たちがディフェンスリバウンドを取れないと、相手に簡単な得点を許すことになりますし、私たちが得意とするトランジションオフェンスも出せなくなるので、二重のダメージを受けます。だからこそ今シーズンは、これまで以上にディフェンスリバウンドが大事になるのかなと思っています。
――数字もさることながら、リバウンドの質が問われるわけですね。
宮澤 そうですね、パクシンジャカップではボックスアウトをしていても、そのこぼれ球、つまりはルーズボールを取りきれないところがありました。頑張っていたところでも、結果として相手にボールを与えているところがあったので、その「もう一歩」のところまで自分たちがやりきれるかどうか。相手を「もう一歩」押し出すといった細かい部分が必要になってきます。
――リバウンドのような技術的な課題のほかに、キャプテンとしてチームメイトに求めたいことはありますか?
宮澤 今シーズンはこれまで以上に、誰にでもチャンスがあると思っています。そのチャンスをみんなが掴みにいってほしいです。その分、私自身もみんなに負けないように頑張らなければいけません。加えて、これまでは私とルイさん(#10町田)、キキ(#7林)がチームを引っ張っていくことが多かったんですけど、今シーズンはそこも「みんなで」という気持ちをさらに強めてもらいたいです。中堅には「私がこのチームを引っ張るんだ」という強い気持ちを持ってもらいたいし、若手も、ついていくのではなく、「自分がレッドウェーブを作り上げていくんだ」という気持ちを持ってほしい。そういうレッドウェーブでありたいと思っています。
――その点も含めて、注目すべき若手はいますか?
宮澤 昨シーズンの途中からアーリーエントリーで入ってきたアオイ(#0山田)がよくなってきています。近年のレッドウェーブの課題のひとつとして、ルイさん(#10町田)をバックアップするポイントガードが安定してこないところがありました。昨シーズンはウル(江良萌香さん)がフォローしてくれたのですが、彼女が現役を退いたことで、今シーズンもその穴をどう埋めるのかが鍵になると思っていました。そこをアオイが、完全にカバーしたとは言えませんが、プレシーズンのゲームを通して、いい経験を積んでいるなと感じます。あとはアキ(#18藤本)。パクシンジャカップでは大会MVPを獲得しましたし、レッドウェーブの数少ないビッグマンとして、しっかりと自分の仕事をしているなと感じています。

――宮澤選手自身はWリーグ14年目に突入します。ご自身はどういったプレーでチームに貢献したい、あるいは、よりステップアップしたいと考えていますか?
宮澤 昨シーズンまではキャッチ&シュートの3ポイントシュートが多かったんですけど、今シーズンはドリブルからの3ポイントシュートにも取り組んでいます。それだけではなく、「ディープスリー(3ポイントラインよりもさらに遠くから打つ3ポイントシュート)」など、3ポイントシュートのバリエーションも増やしていますし、ドライブからフィニッシュにいくまでの過程にも取り組んでいます。
――楽しみです。では最後に全国のレッドウェーブファンのみなさんに、今シーズン開幕に向けたメッセージをお願いします。
宮澤 今シーズンは「挑 -CHALLENGE- 」というチームスローガンを掲げています。現状に満足することなく、常にチームが進んでいく思いを示したものですが、ファンのみなさんにはその過程をぜひ見てもらいたいです。例年以上にみんなが頑張る姿や、BTテーブス前ヘッドコーチとともにこれまで作り上げてきたレッドウェーブのバスケットのうえに、日下光ヘッドコーチのバスケットが積みあがっていく。進化を続けるレッドウェーブのバスケットに私たち選手もチャレンジしているので、その姿を見て、昨シーズン以上の温かいご声援をお願いできればと思います。今シーズンも私たちと一緒に2つの頂点に立ちましょう。