【万能ガードが踏み出した次の一歩~#9赤木里帆~】

高みを目指して、シュートの改善に着手しています

――新しいシーズンが始まろうとしています。サマーキャンプ以降、日本代表組が不在のなかでチームは、あるいは赤木選手はどのようなことを取り組んできましたか?

赤木 サマーキャンプで出た、ディフェンスの強度の甘さであったり、リバウンドを多く取られてしまうといった課題が、今も残っています。オフェンスも、チームとしてうまくいかない時間帯に、たとえばシュートが入らないことが周りに伝染してしまって、簡単なシュートを外したり、3ポイントシュートの確率の悪さにも及んでいます。

私自身はポイントガードとしてコートに立っているときに、やはりチームがうまくいかないとゲームコントロールでパスをさばくことばかりに意識してしまいます。得点を取ることが私の持ち味であるはずなのに、自分で攻める意識が止まってしまっているんです。そうした課題は、チームとしても、私個人としても、シーズンの開幕までに改善したいと思っています。

 

――確かに赤木選手の持ち味は積極的な1対1で得点を取れるところですよね。

赤木 はい。実は今シーズンからシュートフォームを変えたんです。いや、フォームを変えたという表現は正確ではありません。シュートを打つ動作をする際に意識するところを変えたんです。「軸でシュートを打つ」意識で、下半身で作った力を上半身や手によりスムーズに伝えていくトレーニングをしています。

 

――昨シーズン、一定の存在感を示して、優勝にも貢献したにも関わらず、そこでシュートの改善に踏み切ったのは、どういう考えがあったのでしょうか?

赤木 やはり選手である以上、もっと良くしたいという向上心が一番の理由です。私の感覚としても、上半身に力が入って、腕でシュートを打ってしまうところが癖だったんです。上半身で打つことが癖になっていると、試合の終盤、あるいはシーズンの後半戦など、体力的にきつくなってきたときに足の力がうまく使えなくなります。昨シーズンあたりからポイントガードで起用されることも多くなって、自分がドリブルでボールを扱いながら、下半身からの力がうまく使えていないという問題に直面したときに、もっとスムーズに打てる方法があるのではないかと考えて、このシーズンオフにシュートの見直しを取り組むことにしました。

――シュートの改善は一朝一夕にできるものではないと聞きます。現状の手ごたえはいかがですか?

赤木 しっくり来始めています。だいぶ無駄な力がなくなり、前とは違った体の使い方でシュートを打てている感覚はあります。ディフェンスの状況を見ながら、しっかりとシュートを狙っていけるかどうかが、次のステップです。特にポイントガードとしてコートに立ったときの課題でもあるので、そこを意識しながらシーズンに向かっていきたいと思っています。

 

アグレッシブな姿勢で2つのポジションを制したい

――今シーズンはWリーグの連覇と皇后杯と合わせた2冠を目指していると伺っています。そのために必要なことを、赤木選手はどのように考えていますか?

赤木 アグレッシブさが大事だと思っています。Wリーグでは1試合を勝つことも簡単なことではないし、ましてやリーグを連覇することはもっとハードなことだと思うんです。さらに今シーズンからは2部制になって、常にWリーグの強豪チームと戦っていかなければなりません。レッドウェーブの強みであるディフェンスはもちろんのこと、ひとつのルーズボールを取り損ねや、1本のシュートも打てるところでチャンスを見逃してしまうような場面をなくさなければいけません。そうした細部に至るまでアグレッシブにできていけたら、チームはよりよくなると思います。

 

――アグレッシブさもまた赤木選手の持ち味です。アーリーエントリーを除くと4年目ですが、ポイントガードを任されることもありますし、そろそろ自分がチームを引っ張っていこうといった意識は持ち始めていますか?

赤木 そうですね。もちろん自分が引っ張っていく気持ちも少しずつ芽生えてきています。やはりいつまでも先輩方に頼っていてはいけないと思うので、まずはディフェンスからしっかりとプレッシャーをかけています。オフェンスも昨シーズンはまだシューティングガードで起用されることのほうが多かったんですけど、今シーズンはポイントガードとしてコートに出るときも、しっかりとゲームをコントロールして、流れを変えられる選手になりたいと思います。

――最後に、今シーズンに向けての意気込みをお願いします。

赤木 まずはチームの目標を達成するために私ができることをしっかりやろうと思っています。私が求められているのはディフェンスであったり、フェイスアップしての3ポイントシュートだったり、ゲームコントロールだったり……出た時のポジションによって変わるんですけど、それは自分だからこそできるのだと思って。ポイントガードで出た時は、どんどん味方を生かすようなバスケットをしていきたいと思います。もちろんシューティングガードで出たとしても、ポイントガードを助けてあげられるプレーや、味方を活かすように走るなど、チームが目指すバスケットの実現に向けて、チームに貢献していきたいです。今シーズンも、これまで以上に温かいご声援をよろしくお願いいたします。