【開幕直前スペシャル鼎談 宮澤&町田&内尾】

レッドウェーブの新シーズン開幕まであとわずか。昨シーズンはアクシデントが重なり、不本意な結果に終わってしまいましたが、その悔しさも相まって、今シーズンに賭ける思いは例年以上に強くあります。チームをまとめるのは宮澤夕貴キャプテンと、町田瑠唯&内尾聡菜の“ダブル”副キャプテン。近年のレッドウェーブを支え、引っ張ってきた3人に2023-2024シーズンについて、語ってもらいます。 

 

――シーズン開幕まであとわずかに迫りました。プレシーズンのチームの状態をどのように見ていますか?

宮澤  ルイさん(町田)がチーム練習に参加するまでは少し波があるなと感じていて、特にディフェンス面で不安要素がありましたでもルイさんがコートに入るとやはりレッドウェーブのバスケットを長年やっていることもあって、チーム全体が安定してきた印象があります。

町田  私は9月に入ってから徐々にチーム練習に参加しました。それまではコートの外から練習を見ていましたが、それでも近年の日本代表活動でチームから離れていた時期を考えると、プレシーズンを通してチームをずっと見られることはプラスだったかなと思っています。まだまだレッドウェーブのバスケットを表現できていないと思うこともありましたが、そのなかでキラ(内尾)やニニ(中村)、アキ(藤本)、ウル(江良)といった選手たちが、練習だけでなく、オータムカップなどでもチームを引っ張っていこうとしている姿を見て、成長を感じていました。

内尾  昨シーズンまではルイさんやアースさん(宮澤)が日本代表活動でチームを離れていて、うまくいかなかったときに、どう立ち回ればいいんだろうという悩みを抱えていました。でも今シーズンはプレシーズンのスタートから一緒にプレーしたり、少なからず体育館にはいてくれたので、すごく心強かったです。2人がコンディション調整をするなかで私がチームを引っ張っていかなければいけない場面でも、迷ったときにはルイさんとアースさんに聞くことができたし、不安なく、プレシーズンを過ごすことができました。ただ、レッドウェーブのバスケットという面では、まだまだベテランと中堅と若手で噛み合ってないところもあるので、開幕に向けて仕上げていかないといけないと思っています。

宮澤  個人としてはチームの状況を常に間近でし、チームとしても5対5の練習をきちんとできているので、そこは例年にないプラスだと思っています。もちろんこれまでもキラやアキが中心になって引っ張ってくれて、彼女たちの成長は感じられていましたが、今シーズンは全員でチーム作り上げてきた感覚あります。

 

――3人も個々の状態はまちまちだとしても、近くにいることで、それぞれの頑張りを目にしてきたと思います。他己分析、つまり2人がもう1人をどう見ていたかを教えてください。まずはアースのプレシーズンをルイとキラはどう見ていますか?

町田  細かいケガは別として、コンディション的にはさほど悪くないのかなと思っています。加えてレッドウェーブのバスケットに慣れてきて、その深いところまでかなり理解してきたと感じています。そう考えたときに、今シーズンはレッドウェーブのバスケットをベースにした、アースらしい、これまでにない風を吹かせてくれるのではないかとすごく期待しています。

内尾  やはりアースさんはいるだけで心強いです。本来はコートに出ている私がすべきことですコンディション調整でコートを離れているときも、試合後には率先して円陣で声をかけてくれますし、個々の選手にも声をかけてくれています。甘えるわけではありませんが、おかげで私も思いきりプレーできました。他のみんなもそう感じていると思います

 

――ルイについてはどう見ていますか? ケガもあって、けっして順調なプレシーズンとは言えなかったと思います。

宮澤  やはり戻ってきたときに「さすがだな」と思いました。手のケガだったのでシュートに関してはこれからもっと上げてくれると思いますが、それ以外のプレーについてはもうさすがとしか言いようがありません。リハビリ期間中も黙々と自分がやるべきことをやっていましたし、その取り組み方もみんなの手本となるようなものでした。

内尾  ルイさんが戻ってきて最初に思ったのは、5対5のスピードがめちゃくちゃ上がるなと。それまでなかなか出ていなかったファストブレイクが出るようになったり、復帰最初の練習は、それまでずっと練習してきていたはずの私たちが、久しぶりに「きつい」と思うほどのペースでした。相変わらず視野も広くて、コート上だけでなく、コート外でも色々なところを見ていて、私も「さすがやな」と唸ってしまいました。

 

――キラについてはいかがですか?

宮澤  一番に思うのがシュートです。これまでのキラのシュートはアーチがめちゃくちゃ高かったんですが、今シーズンはそこを修正して、シュートの再現性がすごく高くなりました。安定性にもつながってきています。また昨シーズンはオフェンスへの参加がまだまだ少なかったんですけど、今シーズンはフィニッシュのバリエーションも増えて、自分で決め切れるようになっています。

町田  同感です。シンプルにプレーの幅がすごく広がったと感じています。もちろんディフェンスがキラのベースではあるんですけど、それと同じぐらいオフェンスでも怖い存在になっていくのかなと思っています。それはチームにとってプラスですし、苦しいとき、大事なときにアタックしてくれ選手になってきていると思います。

 

――それを踏まえて、今シーズンの“推し”は誰ですか?

宮澤  この2人を含めるのであればキラです。この2人以外だとニニ(中村)かな。プレシーズンはニニの調子がすごくいいんです。練習試合を含めて、ニニの調子がいいときはチームも勢いづくし、逆にニニが悪いとチームが乗りきれないシーンが多々ありました。そういう意味でもニニがキーマンになると思います。

町田  自分もニニなんです。アースと重なっちゃいましたが、今シーズンのニニはおもしろいと思います。ファンのみなさんもたぶん「え、ニニってこんなに出来たの?」と思うようなプレーをしたり、「え、ニニってセンターだよね……」みたいなプレーもするので、そういうところも注目してほしいですね。もうひとり、ウル(江良)にも注目してほしい。移籍1年目の昨シーズンからチームにフィットはしていましたが2年目の今シーズンは、よりウルらしさを出してくれるのではないか思っています。

内尾  サオリ(安江)かな。今たくさん悩みながら必死に練習に取り組んでいますがどんなときでもすごく元気で明るいです。昨シーズンのプレーオフではサオリが入っていい方向に流れを変えてくれましたし、ベンチでも、試合に出ている人たちがシュートを決めれば人一倍跳ねているし、、、コート内でもコート外でもそんなサオリに注目してもらいたいですね。

 

――同じような質問ですが、目標であるWリーグ制覇、皇后杯優勝に向けてカギになるものは何でしょう? プレーでも、人でも構いません。

内尾  やはりレッドウェーブのバスケットは「ディフェンスからブレイク」です。今シーズンも40分間、自分たちのバスケットをどれだけ表現できるかがすごく大事になってくると思います。

町田  私もディフェンスが絶対的な鍵になると思っています。一方で昨シーズンのレッドウェーブは僅差で勝ちきれない試合がいくつもありました。ゲーム終盤の大事な場面でシュートを決めきれないとか、チームでよいシュートチャンスを作っても決めきれない場面が多くあったんです。シュート全体の確率を上げることもそうです、大事な場面でシュートを決め切る強さは、とても大事になってくると思っています。

宮澤  本当にその通りです。特にレッドウェーブは全員が3ポイントシュートを打つ分、その確率がすごく大切になってきます。誰がとか、シューターだからということではなく、チーム全体として3ポイントシュートの確率を上げていくことが必須だと思っています。

 

――その3ポイントシュートという点において、キキ(林)の加入はとても大きな要素になると思います。

宮澤  プレシーズン中、キキが入って試合することもありましたが、さすが安定感だなと感じました。シュートの確率はもちろんですが、打つ本数も多くて、それを決めてくれるので、チームにとってもプラスでしかありません。

町田  私も何回か一緒に練習をしましたが日本代表で一緒プレーした経験がある分、やりやすさもありますし、「絶対にここにいるだろうな」、「このタイミングでパスを出したら打つだろうな」というときに、そこにいてくれて、ちゃんと打ってくれて、しかもしっかり決めてくれるので心強いです。いい意味でレッドウェーブのバスケットを崩してくれる存在でもあるのかなと。形にこだわることなく、空いているスペースにカッティングしたり、ディフェンスの裏側を突いてみたり、チームのアクセントにもなってくれています。もちろん彼女自身まだまだ迷っているところあるとは思いますが、日本代表活動から戻ってきたときにしっかり合わせていけたら。絶対にプラスになってくると思います。

内尾  一緒に練習や試合をしてみて、本当に脅威的な存在だと感じます。練習試合で連続で3ポイントシュートを決めてくれたり、普段の練習でキキさんのディフェンスをしていても本当につきたくない(笑)。運動量も豊富だし、そのなかでクイックの3ポイントシュートをいろんな体勢から打てるので、本当にすごいと思いながらマッチアップしています。私の3ポイントシュートについても、さっきアースさんが「再現性が高くなった」と言ってくれましたが、キキさんからのアドバイスが大きくて。しかも「こうやって打ったら入るよ」と断言して教えてもらって、そこから安定し始めたんです。

 

――最後に今シーズンに向けた意気込みをお願いします。 

内尾  昨シーズンはケガ人が多くて、みんなのコンディションがなかなか上がらない状態でシーズンを終えました。自分自身もすごく悔しい思いをしたので、今シーズンはコンディションを保ちつつ、レッドウェーブらしいバスケットをファンのみなさんにお見せできたらいいなと思います。

町田  今シーズンは1シーズンを通して、みんなが出られる状態でゲームをしていきたいです。そして再びファイナルでプレーしたいという思いが強くあります。キキも入ったし、チーム全体としてもみんなが成長してレベルアップしていると思うので、昨シーズンよりも、さらにレッドウェーブらしいバスケットをみなさんにお見せしたいと思っています。

宮澤  昨シーズンは私自身、本当にケガ多くて……実はプレシーズンにもケガがあって、だから本当にもうケガはしたくない。それが個人的な第一の目標です。3ポイントシュートが入らない試合もあると思いますが、そういうときこそポストプレーからの攻撃でチームを助けれたらいいな思っています。私たち3人だけでなく、全員が各々強い思いを持っていると思うので、今シーズンも富士通レッドウェーブに温かいご声援をよろしくお願いいたします。