2026-27シーズン開幕直前インタビュー
ヘッドコーチ 日下光

――シーズン開幕が約一ヶ月後に迫ってきました(取材日は9月下旬)。チームの現状を教えてください
日下 チーム練習がスタートして3ヶ月ぐらい経ちましたが、今年はワールドカップやアジア大会、3x3の国際大会などもあり、それぞれの日本代表活動に参加している選手も多く、全員が揃って練習する機会が多く取れませんでした。それでも、そのときにいるメンバーで、できることを精一杯やろうとスタートしました。昨シーズンの課題としては、やはりボックスアウトの精度や、ディフェンスの強度などを徹底させられなかったところがあったので、そうした部分を中心に取り組んできました。オフェンスはもう少しペースアップしたいと考え、選手たちは少ない人数で余計に大変だったと思いますが、頑張って走ってもらいました。今はワールドカップを戦った日本代表組が合流し、アジア大会組も戻ってきて、ここから強度を上げ、チームとしてもう一段階成長しなければいけない時期に入っているところです。

――攻守においてステップアップさせたいところを、もう少し詳しく聞かせてください。
日下 ディフェンスについては、私自身も手応えをつかんだ、昨シーズンのプレーオフのときのようにアグレッシブに守っていくこと、これをシーズンを通してどれだけスタンダードにできるかが大きなカギになると思います。この3ヶ月、選手たちにも繰り返し伝えてきました。オフェンスに関しては、先ほども言ったペースアップにも関わる「ファーストスリーステップ」、つまりはトランジションをしっかり走るということがひとつ。そのうえでハーフコートバスケットになったとき、どれだけ落ち着いてプレーできるか。昨シーズンはトランジション後のハーフコートオフェンスで少し慌てていて、ターンオーバーが多いという課題がありました。そこでどれだけ落ち着いて自分たちの選択肢を広げられるかが今シーズンのオフェンスのテーマでもあります。

――今のレッドウェーブはベテランの力が絶大です。一方で中堅以下の選手にももっと出てきてほしいという希望もあります。この選手に出てきてもらいたい、主力に食い込んできてほしいという選手を上げていただけますか?
日下 間違いなく全員です。誰一人欠けることなく、全員がゲームに絡めるようになってほしいところです。ただ今シーズンからキャプテンを宮下希保に、副キャプテンを赤木里帆にしました。その2人にはプレーの面だけでなく、リーダーシップの面でもステップアップしてもらいたいと考えています。むしろリーダーシップでのステップアップこそがプレーにもつながると思って、彼女たちをキャプテンと副キャプテンに選んだくらいです。心身両面からチームの勝利に貢献してもらいたいと思っています。

――ヘッドコーチのそうした思いが具現化した人事だったわけですね。
日下 キャプテンに関しては、昨シーズンの終盤に前キャプテンの宮澤夕貴から「来シーズンはキャプテンを他の選手に託したい」と打診がありました。中堅の選手がリーダーシップを発揮できるようになると今後のレッドウェーブが強くなると感じ、宮下にキャプテンをお願いしました。
副キャプテンの赤木についても同じ理由で私が決断しました。

――今シーズンから加入した新戦力についても聞かせてください。まずは昨シーズン、アーリーエントリーで加入した大脇晴選手のルーキーイヤーになります。
日下 大脇もアジア大会の日本代表活動でなかなか一緒に練習はできていませんが、彼女の強みは物怖じしないメンタルと、力強いドライブです。アジア大会でもそうした面を発揮していましたが、レッドウェーブでもその強みを思う存分発揮してほしいと思います。ただレッドウェーブのバスケットスタイルは、言うまでもなくディフェンスをベースに置いています。現時点の大脇は4番ポジションでプレーするため、ビッグマンを守ることも多くなります。一方で将来的には3番ポジションでプレーすることも考えていますが、そうなればアウトサイドの選手を守るディフェンススキルも身につけなければなりません。そうしたところを広く強化しながら、彼女の強みを引き出せるようにしたいと考えています。

――もうひとり、新外国籍のフ―リング サマンサ ジェーン選手も加わりました。彼女の印象と、彼女に期待するところを聞かせてください。
日下 まずは人間的に本当に明るい性格です。、今は多くのコミュニケーションを取っています。彼女の強みはアウトサイドシュートがあるところと、実はパスセンスもあるところです。本当に周りをよく見ていて、チームメイトのチャンスで適切なパスを出せるので、そうした彼女の強みを、レッドウェーブのオフェンスの中で活かせるようにしていきたいと思っています。

――今シーズンの目標を教えていただけますか?
日下 目標は「王座奪還」です。昨シーズンはディフェンディングチャンピオンとして戦いましたが、3位で終わってしまい、すごく悔しい結果でした。それだけにもう一度、頂点に立ちたい。優勝する喜びを全員で分かち合いたいというのが大きな目標の一つです。もちろん簡単ではないことは理解しています。長いシーズンですから、いいことも悪いこともあると思います。その流れが悪いときに、どのように一体感を作り出せるかが何より重要です。昨シーズンはそうなったときにチームが不安定になってしまったところがあるので、そういうときこそ自分たちの強みは何なのか、何度も繰り返しますが、やはりレッドウェーブの強みはディフェンスです。オフェンスでさまざまなことを試していきますが、レッドウェーブはディフェンスのチームであるというアイデンティティを見失うことなく、どんなときでもディフェンスから流れを作り直せるようなチームであり、シーズンにしていきたいと考えています。

――最後にレッドウェーブファンのみなさんにメッセージをお願いします。
日下 新しいシーズンがもうすぐ始まるということで、選手もスタッフもすごく楽しみにしています。それはもちろんファンのみなさんも同じ想いだと思います。昨シーズンからWリーグ・プレミアになり、勝ち続けることがこれまで以上に困難になってきています。そうした困難なWリーグ・プレミアだからこそ、勝ったら全員で喜んで、負けたら全員で悔しがる。そういった感情の面でもファンのみなさんとの一体感を共有しながら、シーズン終了後にファンのみなさんと一緒に笑っていられるように戦っていきたいので、引き続き温かいご声援をよろしくお願いします。今シーズンも私たちと一緒に戦いましょう。