2025-2026シーズン新加入選手インタビュー
#11 前澤 澪
――まずは、おかえりなさい。4シーズンぶりの復帰となった経緯を聞かせてください。
前澤 2021-22シーズンで引退したあとに結婚し、2023年4月に長女を出産しました。その年の夏、国民スポーツ大会への出場を目指す神奈川県チームに入れていただき、久々にプレーしたんです。そこで改めてバスケットの楽しさを感じ、その年のWリーグを見ていたら「もう1度やりたい」という気持ちが湧き上がってきました。そのときは家庭のこともあって諦めていたのですが、どうしても諦めきれず、家族にも相談して、復帰の道を探ることを決めました。

※2021-2022シーズン
――チーム練習が始まって2週間くらいですが、身体的なコンディションはいかがですか?
――チーム練習が始まって2週間くらいですが、身体的なコンディションはいかがですか?
前澤 まだ始まったばかりで、対人練習もほとんどしていないので、身体がどこまで戻ってきているのか、自分でもわかりません。ただ感覚的には、全然追いついていけていない状態です。
――日下光ヘッドコーチは前澤選手の取り組みを見て「覚悟を持っているように感じる」と言っていました。
前澤 そう言っていただけるのは嬉しいです。現役復帰を支えてくれている家族には感謝していますし、復帰を受け入れてくれたチームのためにも頑張らなければいけないと思っています。でも今はそれ以上にみんなとバスケットをしていることが楽しくて、「頑張らなきゃ」という気持ちさえ忘れかけていました。それくらい楽しいです。出産を経験した体でどこまでやれるのか、未知なるチャレンジだと思っています。動けるようにならないかもしれないし、逆に努力が実を結んで前よりも動けるようになるかもしれない。不安がないわけではありませんが、それ以上に自分の体がどうなっていくのかも、楽しみで仕方がないんです。
――また町田瑠唯選手のパスを受けたり、高校の後輩である宮澤夕貴選手と一緒にプレーできることも楽しみでしょうか?
前澤 もちろん楽しみではあるんですけど、今はまだ私自身が彼女たちのレベルに達していないので、まずは頑張らなければという気持ちの方が強いです。ただファンの方々もそれを楽しみにしてくださっていると思うので、そのためにも私がもっともっとステップアップして、みなさんに楽しんでいただけるようなプレーをお見せできるように頑張ります。
――引退し、結婚・出産を経たことで、バスケットに対する感じ方も変わりましたか?
前澤 そうですね。表現が適切ではないかもしれませんが、気持ち的には少し楽になった気がします。以前は常に張り詰めていて「やらなければいけない」という気持ちが強かったんです。でも一度引退して、私自身がゼロにリセットされて、今まで積み重ねてきたものもなくなった状態なので、すべてを受け入れられるマインドになっています。
――娘さんの反応はいかがですか?
前澤 私がトレーニングに行く日は主人が娘の面倒を見てくれるのですが、そのときに「お母さん、『ファイト』に行ってくるね」と言ったら、「ファイト、頑張ってね」とか、最近は「今日もファイト行くの? ちょっと寂しい」と言うんです。
――その応援は嬉しいですね。引退する前にはなかったことでしょう?
前澤 はい、とても力になります。加えて、練習から帰った後はすごく癒しになります。引退前はバスケットのことをずっと考えていて、家に帰っても「ああだったよな、こうだったよな」とネガティブになることもあったのですが、今は娘がいることによって、マイナスのイメージを忘れさせてくれています。これからシーズンが深まっていくにつれて、娘の存在がより大きく感じると思います。

――戻ってきたレッドウェーブの印象はいかがですか?
前澤 前よりも締まっている気がします。私が引退する前からいた選手たちはすごく成長したなと感じます。引退前にいなかった若い選手たちも本当に上手だし、一生懸命で、まだ数日しか見ていないですけど、みんなすごく真面目に取り組んでいるなと感じます。
――そうした若い選手たちと切磋琢磨しながら、一方でコートに立ちたい思いもあると思います。
前澤 もちろん覚悟を持って復帰することを決めたので。やるからにはコートに立ってプレーすることを第一に考えています。そのために必死になって練習していくことは当たり前なのですが、たとえコートに立てなかったとしても、最低限、私の取り組みを見た若い選手たちに良い影響を与えられるようにしたいです。そしてそれがチームの底上げに繋がればいいかなとは思っています。
――前澤選手が経験したことを伝えていくことが役割のひとつだと。
前澤 そうですね。自分がやってきたことで、みんなの役に立つことがあればいいなとは思っています。引退する前に関わっていなかった選手もいますし、まずは積極的にコミュニケーションを取りに行かなければいけないと。その点においては。以前はあまりしてこなかったのですが、今は気づいたことがあったら、伝えられることは伝えていこうとしています。ただ3シーズンも離れていたので、何が正解で、何が間違いか、自分の中で半信半疑になっています。その間に変わったこともあるでしょうし、私が「こうやるべきだ」と思っていたことが、今はそうでないこともあります。そこはコーチ陣に確認しながら行っています。
――最後に、前澤選手の復帰を喜んでくれているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
前澤 お久しぶりです。また皆さんと一緒に、皆さんの応援の中で、レッドウェーブの一員としてバスケットができることを本当に嬉しく思っています。自分が今できることを最大限に頑張っていきたいと思いますので、今シーズンからまた温かい応援をよろしくお願いいたします!