【挑戦者として、常に成長に立ち向かいたい~#7林咲希~】

どうやら私は休むことに慣れていないらしい(笑)

――まずはパリで開催された国際大会、お疲れさまでした。女子日本代表のキャプテンとして臨んだオリンピックをどう振り返りますか?

林 私たちが目指していたバスケットができていた時間帯もあったのですが、それが短すぎたなというのが率直な感想です。やはり世界の国々は強かったですし、私たちがやってくるだろうディフェンスを予想もしていたように思います。私たちの想像を超えてくるようなスピードやフィジカルを感じてしまって、日本らしいバスケットが出せなかったかなと思います。

 

――パリから帰国して、レッドウェーブに合流するまでのオフはどんなことをしていましたか?

林 大会が終わってすぐは体も疲れていましたし、負けたことへの悔しさもあって、気持ちの面がさらに疲れていたんです。だから今回は1週間くらい、思い切り休もうと決めていたんです。でも休むことに慣れていないせいか、オリンピックの直前くらいからトレーニングができていなかったので、帰国後3日目くらいから、パーソナルでトレーニングができるところに行って、トレーニングをしていました。だから今(8月下旬)も全身筋肉痛です。

 

――ご実家の福岡県にも帰らず、ですか?

林 はい。母もフランスまで応援に来てくれていて、帰国後は時差ボケもあったらしいので、私が帰ると大変かなと思って、今回は帰りませんでした。その分、今回は自分のやりたいことをやろうと思ったらトレーニングになってしまって……でもそこでいろんな人と話せたことでリフレッシュにはなりました。

チームがセイムページに立つためにステップアップは必須

――では新しいシーズンの開幕に向けてのお話を聞かせてください。今シーズンはWリーグの連覇と、皇后杯の優勝が目標だと伺っています。過去にそれを達成している林選手として、2冠を実現させるために必要なことは何だと思いますか?

林 やはり一人ひとりが負けたくない気持ちをもっと強く持つようにすることと、多少の運もあるかもしれませんが、自分たちがやりたいバスケットをやるなかで一人ひとりがシュートを決め切ることはすごく大事になってきます。特に皇后杯は一発勝負なので、勢いも大事になってきます。試合の入り方、各クォーターの出だしに集中して、チームみんなで勢いよくスタートできるようにしなければいけません。Wリーグも今シーズンから2部制になり、私たちは「Wリーグ・プレミア」で戦うので、スタメン、ベンチメンバーに関係なく、全員がセイムページでプレーしなければいけないと思っています。

 

――セイムページに立つためにも、チームに合流してみて、若手のステップアップをどのように見ていますか?

林 昨シーズンからは、ニニ(中村優花さん)が引退し、キホ(宮下希保)が移籍で加わっただけで、大幅にメンバー構成が変わったわけではないのですが、チーム練習の雰囲気がすごくいいなと感じています。昨シーズンのように「もっと声を出そう」といった単純なアドバイスをしなくなってよくなっていますし、みんながレベルアップしているように思います。みんながチームのコンセプトやルールをしっかり理解できているからだと思うのですが、だからこそ、ここからもっと質の高いコミュニケーションを取って、よりよいチームにしていきたいと思います。

 

――より良いチームになっていくためには、若手のステップアップも欠かせないと。

林 はい、そこは本当に大事なところだと思います。実際、昨シーズンのセミファイナル、ファイナルを戦ったときも、ベンチメンバーのリズムがいいと、スタメンで出ている私たちのリズムもよくなります。それで勝ちにつながった試合が多かったし、彼女たちもそれを実感したからこそ、今、すごくアグレッシブに頑張っているんだろうなと、彼女たちの気持ちが伝わってくるほどです。それくらいバチバチとしたチーム内での争いがおこなわれていて、いい練習だなと感じています。

成長段階の挑戦者として、覚悟を持って新シーズンへ

――若手の台頭を予感させるなか、林選手自身は今シーズン、どんなことに取り組もうと考えていますか?

林 昨シーズンに引き続き「ピック」と呼ばれるオンボールスクリーンの使い方にも取り組みますし、その後に攻める時間が少なくなってきたときの1対1の練習にも取り組んでいます。もちろん3ポイントシュートの確率も上げなければいけません。オフェンスはある程度自由にさせてもらっているからこそ、責任を持って、取り組みたいと思います。一方で、昨シーズンは移籍1年目ということもあって、レッドウェーブのディフェンスに慣れなかったところもあります。BTテーブスヘッドコーチからもそこを求められていましたし、改めてレッドウェーブのディフェンス習得にもしっかり取り組みます。

――最後に今シーズンに向けた意気込みを聞かせてください。

林 昨シーズン、チームはWリーグで優勝を果たしましたが、チームとしても、私自身としてもまだまだ挑戦者ですし、成長段階だと思っています。相手チームはもちろんのこと、自分たちの成長に対しても、しっかりと立ち向かう気持ちでシーズンに臨みます。1試合1試合をしっかり勝ち切ることもそうですが、私自身はオリンピックで世界の強豪国と戦ってきた分、これからもフィジカルを強化していきたいと思っているので、そうした部分もWリーグと皇后杯でしっかりと出したいと思っています。昨シーズンよりもレベルアップしたチームはもちろん、私自身も皆さんに見てもらえるよう、今シーズンも頑張ります。今シーズンも温かいご声援をよろしくお願いいたします。