【より賢く、質を高めて2冠を目指す~BTテーブスヘッドコーチ 】

全員がセイムページで戦えるように

――2024-25シーズンの開幕が近づいてきました。チームの現況を教えてください。

BT 状態はいいと思います。練習のインテンシティ(強度)が高いですし、プレシーズンに練習試合を含めて13試合ぐらい行いましたが、まだ負けていません。もちろん試合によって内容にばらつきがあったり、選手の組み合わせによってもプレーが変わりますが、今の時期にそれは仕方のないことです。

 

――今シーズンは、昨シーズンのチャンピオンとしてWリーグ開幕を迎えます。チームとして何を積み上げようと考えていますか?

BT たくさんあります。まずは、トランジション(攻守の切り替え)での得点を増やしたいです。昨シーズンもけっして悪くはなかったけれど、その数をもっと増やしたいと考えています。もう一つはハーフコートオフェンスの遂行力です。不安定なプレーを減らして、全員がセイムページになるように、今も分解練習に取り組んでいるところです。実際、韓国でおこなわれたパク・シンジャカップなどを見ても、よくはなっていますが、まだまだです。

――セイムページになるためにも、選手個々の、特に若手のステップアップは欠かせません。

BT ステップアップが見られる選手はいます。全員を毎試合に出すわけではありませんが、昨シーズン以上に、ベンチスタートの若手がコートに出たとき、その試合でインパクトを与えるような働きに期待しています。特にレッドウェーブがリードをしていて、ベンチメンバーを少しずつ入れたとき、チームディフェンスの質が下がらないようにしてもらいたいところです。

 

――昨シーズンはメンバーチェンジ後にチームディフェンスの質が少し下がったところもありました。

BT そうですね。ベンチメンバーを入れたときにマイナスになるようではいけません。最低でもイーブンですが、私としてはプラスになることを期待しています。これまでの練習試合ではプラスになったクォーターもあります。

 

――韓国でおこなわれたパク・シンジャカップでもそういったシーンはありました。

BT はい。ただあの大会は短期間で6試合もおこなったので、プレータイムを分けるために2つのユニットに分けて、それらを入れ替える形で戦っていました。リーグ戦ではそうした起用にはならないでしょう。数名の選手を入れ替える形になると思います。そうなったときの選手の組み合わせが今シーズンのカギになるように思います。

 

上位リーグ「プレミア」を勝ち抜くために

――今シーズンのWリーグは2部制になり、レッドウェーブは昨シーズンの上位8チームから成る「Wリーグ・プレミア」で戦います。ゲームのレベルが上がることも組み合わせをカギとする理由のひとつですか?

BT そうですね。そうでないと、私たちはレギュラーシーズンで1位になることはないと思います。

 

――プレミアを戦うことでチームとしてもよりステップアップできると考えているのですね。

BT そうです。今までのリーグ戦とはまったく違って、ホーム&アウェイのような形になります。昨シーズンの優勝で「レッドウェーブが強い」と言ってくれる人が多くなりましたが、昨シーズン以上の強いチームにならないと、今シーズンの優勝は難しくなります。

 

――戦い方も昨シーズンと変わりますか?

BT 細かいところは変わるかもしれませんが、ファンの方々がパッと見てすぐに気づくようなところではありません。私たちが築いてきたレッドウェーブのバスケットで昨シーズンの結果を残しているのですから、大きく変えるべきではありません。ただプレミアはすべてがタフなゲームになりそうですから、戦略的には考えるべきところはあります。たとえばファウルの捉え方です。接戦で、私たちのチームファウルが1つだったら、たとえファウルになってでもより強くプレッシャーをかけて、相手のやりたいプレーを簡単にさせないようにしなければいけません。賢くバスケットをする必要があるわけです。ベンチスタートの選手たちも、自分のファウル数に関わらず、チームのために激しくプレーするなど、細かなところは、これまでと違ってくるかもしれません。

 

――世界的に見てもファウルをいかに使うかはゲームの基本とも言えます。バスケットボールの質が高くなってくるわけですね。

BT そうですね。それぞれの選手の役割と持ち味は出してほしいですが、そのうえでチームの状況――残り時間とスコア、チームファウルの数、チームメイトの状態などを考えて、その状況に合った判断が的確にできるようになったら、チームとして大きなメリットを得られます。そうしたことも求めていきたいところです。

フォーカスした戦い方で長いシーズンを走り抜ける

――今シーズンは皇后杯にもフォーカスしているそうですね。その意図は何でしょうか?

BT まず一つは、プレシーズンを含めたシーズンの長いことが挙げられます。特に今シーズンのレッドウェーブはプレシーズンが例年とは異なり、海外への遠征も2つあります。そうなったときに、短期間での目標があれば、選手たちもフォーカスしやすくなります。それがなく、Wリーグのタイトルばかりを考えていたら、いつの間にか皇后杯の時期になって、フォーカスしきれなくなります。もちろんチームとしては毎年、Wリーグと皇后杯の2冠を目指していますし、選手たちもそれを口にします。でも今シーズンはまず皇后杯を1つのターゲットにして、プレシーズンでしっかり準備したほうががよいと考えました。そして皇后杯が終わったらWリーグ優勝に向けたシーズンが始まります。少しでも休ませる時間があれば休ませて、リフォーカスした新しいシーズン、次の目標はWリーグタイトルになるわけです。

 

――今シーズンも楽しみにしています。

BT 私自身も今シーズンをすごく楽しみにしています。なぜなら、このチームはもっともっと強いチームになる可能性があるからです。素晴らしい選手たちが揃っていますし、新加入の3人も、全員がリーグ優勝を経験しています。チームとしての成長を感じますし、大きな怪我さえなければ、私たちは昨シーズンよりもっと良いバスケットができると思っています。もちろんWリーグ・プレミアは質の高いリーグなので簡単なことではありませんが、十分にチャンスはあると思っています。ファンのみなさんには、今シーズンもともに戦っていただき、ともに2冠を目指していきましょう。今シーズンも熱い応援をよろしくお願いいたします。

BTテーブス