【開幕直前インタビュー　HC　ＢＴテーブス】

レッドウェーブの新シーズン開幕まであとわずか。昨シーズンはアクシデントが重なり、不本意な結果に終わってしまいましたが、その悔しさも相まって、今シーズンに賭ける思いは例年以上に強くあります。アーリーエントリーで加入していた新人3人に加え、女子日本代表でキャプテンを務めるシューターの林咲希も移籍加入。新しい布陣で臨む2023-2024シーズンに向けて、6シーズン目の指揮官、ＢＴテーブスヘッドコーチに話を聞きます。 

――開幕まであとわずかです。プレシーズンをどのように振り返りますか？
ＢＴ　実は非常によい感触を得ています。サマーキャンプやオータムカップなどを、見てくださった方々は、もしかすると「大丈夫だろうか？」と思ったかもしれません。確かに町田（瑠唯）や宮澤（夕貴）がコンディション不良で、また移籍してきた林（咲希）も日本代表活動などがあり、一緒にプレーする時間が少ないのは事実です。しかし前者の2人も順調にコンディションを上げてきていますし、林はバスケIQの高い選手なので、チームにフィットする時間もさほど長くかからないでしょう。むしろベテラン陣が不在の期間に、「シーズン中に彼女たちがアクシデントなどで戦列を離れたとき、どのように戦うか」を考えてきました。その成果も見えてきています。たとえば中村（優花）はプレシーズンにおいて最も活躍してくれた選手です。まだまだ未知数ですが、今シーズンは3番ポジション（スモールフォワード）で彼女を起用するプランもあります。それくらいの活躍をしてくれたのです。
 

――ビッグラインナップ（大きい選手たちが構成されるチーム）もありうると。
ＢＴ　そうです。藤本（愛妃）も調子がよかったし、ディフェンス面では成長が必要ですが、（ジョシュア ンフォンノボン）テミトペのダイブは相手にとって脅威になるでしょう。そこに宮澤も加わるわけですからね。一方で組み合わせによってはスモールラインナップも組めるので、今シーズンはいろんな選択肢が考えられます。これまでは誰か1人が活躍できなければ、そのまま試合に負けてしまうこともありましたが、今シーズンは誰が出てもレッドウェーブのバスケットができるという手応えがあります。

――ファンの視点から見れば、そうなるとなおさら1番ポジション（ポイントガード）の負担が大きくならないか、と思ってしまいます。
ＢＴ　プレシーズンで町田がプレーできなかった分、赤木（里帆）と安江（沙碧梨）にプレータイムを与えてきました。2人ともまだまだターンオーバーが多いという課題はあるので、シーズンを通して、どこまで改善できるかを見極めなければいけません。一方で江良を1番ポジションで起用するパターンも考えています。彼女も意欲的にその練習に取り組んでくれていましたし、安定感も増してきています。それよりも課題は3番ポジションと4番ポジションでしょう。主力選手には内尾しか3番ポジションがいないので、伊森（可琳）がどれだけ絡めるかが鍵になってきます。4番ポジションは宮澤をベースにしながら、中村、藤本が続きます。2人は宮澤ほど3ポイントシュートの精度がないため、どのようなオフェンスを展開していくか考えなければいけません。ただその道筋も少しずつ見えてきています。

――目標であるリーグ制覇と皇后杯優勝を成し遂げるために、カギはどこになるのでしょうか？
ＢＴ　今シーズンの一番のカギはベテラン選手と若手選手のバランスでしょう。先ほども言いましたが、プレシーズンでベテラン選手たちはほとんど一緒にプレーができていません。もちろん彼女たちは間違いなくチームの中心選手ですが、だからといって彼女たちに依存するのではなく、私たちの成功はチームとしてのバランスにかかっています。特に連戦の2試合目はベテラン選手のプレータイムを考慮する必要があります。プレシーズンでのチームケミストリーは非常によいと感じていますが、だからこそベテラン選手だけでなく、若手選手も含め全員が自分の役割を理解し、それに伴う責任を受け入れることが重要になります。

――昨シーズンはアクシデントが重なり、レッドウェーブのケミストリーをより高いところへと持っていけなかった反省もあります。
ＢＴ　そうです。私としても、チームに大きな影響を与えるケガを避けるため、昨シーズン以上のベストを尽くして準備をするつもりです。それが功を奏してチームとしての一体感を最後まで保つことができれば、再びファイナルに戻れない理由はないと思っています。選手たちは常に意欲的ですし、スタッフも成功するために何をすべきか共通理解をしています。私自身も、今シーズンはどんな内容であれ全試合勝つことに集中しています。昨シーズンは5点差以内で負けたゲームが5試合ありました。今シーズンはどんなことがあっても「次のプレー」に集中することで、そうしたゲームを勝ちきらなければなりません。半年に渡るリーグですから、困難な状況に陥る選手も出てくると思いますが、私自身、そうした選手たちに対して、より良いコーチになることに集中しています。長い間コーチをしてきましたが、選手とともに私自身も向上することが、今シーズンは重要だと考えています。再びみなさんと一緒にファイナルの舞台へ、そしてその先へと進んでいきたいと思っています。今シーズンも熱い応援をよろしくお願いいたします。