町田瑠唯「魅力的な応援したいチームに映ったら嬉しい」シーズン終了キャプテンインタビュー

—6年ぶりのファイナル進出を果たした21-22シーズンが終了しました。レギュラーシーズンは序盤から中盤まで無敗が続きましたが、チームの良かった点はどこですか?

これまで、接戦になると試合を落としてしまうことがありましたが、今シーズンはある程度勝ちきれたと思います。要因としては、課題だったリバウンドが比較的とれるようになったことですかね。オフェンスの流れが良くないときでも、ディフェンスで我慢できるようになり、相手に試合の流れを握られても、その時間帯を短くできるようになりました。特にプレーオフに入ってからは、自分たちのディフェンスが大きな武器だと実感できて、チーム全体で自信を持ってプレーできたと思います。

また、前シーズンに比べても、成長を実感できる1年だったと思います。セイ(#3岡田英里)やマナ(#14田中真美子)、アキ(#18藤本愛妃)などの若手勢や、リツ(#8内野智香英)たちのパフォーマンスも安定してきた印象があります。

—アース(#52宮澤夕貴)やニニ(#22中村優花)といった即戦力の加入は大きな力になりましたか?

 

二人の加入によって、リバウンドへの意識は変わりましたね。初めは二人とも、富士通のバスケットスタイルに慣れるのに必死で、なかなか嚙み合わないこともありました。もちろん、バスケIQが高く経験豊富な二人なので、伝えればすぐ理解してくれましたし、試合を重ねるにつれてどんどん改善していきました。



—キャプテンとしてチーム作りは難しかったですか

今シーズンは新加入の選手も多く、難しい面はありました。特に移籍してきた選手は、前のチームの動きが身体に染みついているので、大変だろうなと感じていましたね。富士通は、全員が動いてボールを回し、アタックチャンスを作っていくプレースタイル。その違いに迷ったりしたとは思いますが、各選手がそれぞれ頑張ってくれたと思います。

 

—今季もリーグ全体が新型コロナウイルスに影響を受けたシーズンだったかと言えると思います。そういった中で戦っていくにあたり、チームのコンディションやモチベーションの維持は大変ではなかったですか

試合のために練習やミーティングなどの準備を重ねているので、直前で中止になるとモチベーションを保つのが難しかったです。また、試合までの間隔が空くと、ゲームの感覚を掴むのが厳しい部分もありました。でも、Wリーグ優勝という最終目標は全員がブレなかったですし、日々の練習でコミュニケーションを欠かさないように気を付けていたので、徐々に調子を上げていくことが出来ました。

 

—プレーオフではENEOSをセミファイナルで破り、6年ぶりにファイナル進出を果たしました。最後は、トヨタ自動車に力及ばずでしたが、どう振り返りますか?

ファイナルまで勝ち進めた要因は、自分たちの武器やバスケスタイルが明確になったこと。実際に、セミファイナルに入ってからシュート確率が一気に下がって、あまり得点が伸びませんでした。それでも勝ちきれたのは、流れを相手に持って行かれそうな時でも、ディフェンスで踏ん張れたからだと思います。

ファイナルでも自分たちのバスケをしようと思っていましたが、ディフェンスを徹底しきれませんでした。トヨタ自動車さんに確率よくシュートを決められてしまいましたし、そのあたりはチームとして、まだ足りないところであり、今後の課題だと感じています。ただ、チームみんなも同様に思っていることだと思いますが、個人的にも今シーズンにかける思いが強かったので、あのメンバーでファイナルの舞台に立てたのは良かったと思っています。

 

—チーム全体では、この1年でどんなところが成長しましたか。

今シーズンはバックアップがコート内外で頑張ってくれて、チームの支えになってくれました。特に優勝経験のあるメンバーの加入で、チーム内での声掛けがより増えた印象です。試合でも練習でも、流れが悪い時に、みんなを鼓舞する前向きな言葉って、大切。私自身も助けられましたし、若手勢にも良い影響を与えてくれました。こうして全員が積極的に声を掛け合い出し続けたことは互いの結びつきを強め、個人やチームの成長に繋げられたと実感しています。




—シーズンを終えて、ご自身のプレーについてはどう評価しますか?今年は自分のプレーにフォーカスできましたか

昨年よりは、自分のプレーを意識できました。とはいえ、個人的にはファイナル1戦目の内容に悔いが残っているので、チームに対して申し訳ない気持ちが大きいです。接戦になったときに自分がシュートを決めていれば流れを変えられたかなって…、つい後悔してしまいます。

 

—WNBAに挑戦されますが、現在の心境はどうでしょう。

ワクワクが70%、不安が30%です。それとは別で緊張が100%ありますね(笑)

 

—チームに加入してから11年。一つの区切りとなりますが、様々な選手やスタッフと出会って来たこのチームに対して、どんな想いがありますか

11年前、新人だった私にとって、当時のチームはキラキラ輝いて見えました。自分自身も、そんな富士通の一員になりたいと思い、入社を決めました。そして現在、若手勢が当時の自分と同じように、今のチームを魅力的だと思ってもらえているのかなと。

特にファイナルに辿り着けなかったこの6年間は、しんどい思いや苦しい思いもたくさんしました。ただ、この富士通レッドウェーブというチームを、当時のような、魅力的で応援したくなるチームにしたいという思いで、自分なりに精一杯プレーしてきました。なので、皆さんにとっても富士通がそんなチームに映っていたら嬉しいなと思います。

 

—最後に全国のレッドウェーブファンのみなさんにメッセージをお願いします。

今シーズンもたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。コロナ禍で試合が中止になるなど、残念な思いをさせてしまって申し訳なく思っています。ファンの皆さんは本当に温かく、応援メッセージからもたくさんパワーをいただきました。また、今まで以上に会場に来てくれるファンの方々が増えて、常に満員の状態で試合ができたことにとても感謝しています。Wリーグ準優勝は悔しい結果でしたが、ファンの方々と共にファイナルの舞台へ行けたことは大きな喜びでした。引き続き、富士通レッドウェーブの応援をよろしくお願いします。

町田 瑠唯(まちだるい)レッドウェーブのキャプテン。ゲームの組み立てるポイントガードとして、レッドウェーブの多彩なメンバーにプレーを引き出す司令塔である。2021-2022シーズンは全ての公式戦でスタメンとしてチームを牽引し、チームを6年ぶりのファイナルに導く。Wリーグ2021-2022ではアシフト王(5年連続6回目)、ベスト5(2年ぶり5回目)にも輝き、プレーオフでも初のベスト5に選ばれた。
また、日本代表としてもリオ2016オリンピックや東京2020オリンピックにも出場。その実力が評価され、2022年にはWNBAワシントン・ミスティクスと契約し、レッドウェーブの選手としては初めてWNBAに挑戦する選手となった。