#10 町田瑠唯 G シーズン終了キャプテンインタビュー

—まずはレギュラーシーズンを振り返りましょう。昨シーズンから多くのメンバーが抜けたにもかかわらず、ケガ人が多く、さらに終盤にも故障者が出ました。

今シーズンは元々サイズのあるチームではありませんでしたが、それに加えてセンターの2人がケガを負ったことは苦しいものがありました。その分、モニカ(#99オコエ)やアキ(#18藤本)が頑張ってくれましたが、ビッグマンがいれば、もう少し違う戦い方もできたかもしれません。また、シーズン終盤のセイ(#3岡田)のケガも、新人ではありましたが、チームに勢いをもたらしてくれる選手だったので痛かったですね。

 

—結果を見ていくと、まずファイナルラウンドまで進んだ皇后杯があります。

今回の皇后杯では自分たちの弱いところ、足りないところがたくさんあると実感しました。チームとしてひとつになりきれていないところがあったのかなと思います。そういう意味では、負けはしましたが、チームとしていい転換点になったと思います。

 

—その結果なのか、2年ぶりのプレーオフはクォーターファイナルでトヨタ紡織サンシャインラビッツに勝利しています。

個人的にはトヨタ紡織と対戦することに関して少し不安はありました。これまでのことが蘇ってきて、不安が頭をよぎりましたが、ミーティングでヘッドコーチから「自分たちのバスケットを信じて」と言われて、それだけに集中してプレーしました。それが結果につながったことはよかったです。

 



—チームとして5年ぶりのセミファイナルではトヨタ自動車アンテロープスに連敗です。

トヨタ自動車がどういうバスケットをするかもわかっていましたが、初戦は完全にフィジカルの強さでやられました。またビッグラインナップで来たときに対応しきれなかったことも悔やまれます。2試合目はフィジカルの強さにも対応できたし、負けられないという思いもあったので、みんなの気持ちも入っていたと思います。ただ、大事なところでミスがあり、決めるべきシュートや、決定打が低かったのかなと感じています。個人的にも、スイッチディフェンスに対するオフェンスをもう少しうまくコントロールできたら良かったなと反省しています。

 

—反省も多いと思いますが、若返ったチームが、シーズン前に比べて成長できたところはどこでしょう?

キラ(#25内尾)やニチカ(#13谷口)、マナ(#14田中)あたりがレベルアップしてくれたなと感じています。特にキラは少しずつではありますが、スタートである責任や自覚を持ってプレーしているのを強く感じていました。ニチカと、マナも、ベンチスタートながら試合に出たときは自分の役割をしっかり果たしてくれる。まだまだ足りないところもありますが、調子の波が少なくなってきました。その2人のプレーで試合の流れが変わったり、チームを支えてくれているところもあったので、彼女たちの成長はとても大きいのかなと思います。

 

—ご自身の出来はどう振り返りますか?

正直に言って、今年は自分自身がレベルアップしたとは思えないんです。チームをどうしていくかを考えすぎて、言い訳ですけど、自分自身のことに集中できていませんでした。もちろんチームのことを最優先に考えるのはいつものことですが、いつも以上にチームのことを考えたシーズンでした。コート内外でチームのことを考えていたので、自分にフォーカスできていなかったように思います。若返ったチームに富士通のバスケットを浸透させようと思えば、必ずどこかでそういうシーズンはあるものです。そのなかでも今シーズンは特に、これまで積み上げてきたことを、またゼロから伝えるみたいな感じで難しかったし、時間がかかりすぎてしまいました。

 



—それでも4年連続5回目のアシスト王を獲得しました。

毎年言っていますが、この賞はチームメイトのおかげです。自分だけの賞ではありません。チームメイトがあってこその賞なので、みんなにとても感謝しています。それに尽きます。シィさん(#11篠崎)は安定してディフェンスを振り切ってくれるので、彼女の動きは常に見ていますし、パスも出しやすかったです。加えて、今シーズンは対戦相手からさほど警戒されていない選手たちが要所でシュートを決めてくれました。またモニカをはじめ、3ポイントシュートを躊躇なく打てる選手が増えたので、そこにどう合わせるかは考えました。やはりみんなの成長が大きいです。

 

—最後に全国のレッドウェーブファンのみなさんにメッセージをお願いします。

今シーズンもたくさんの応援をありがとうございました。とても悔しい結果で終わりましたが、今年は新型コロナウィルスの影響で会場に来られなかったファンの方も多いなか、それでも会場に来てくださった方や、配信を通じて見てくださった方から、メッセージ等でとても力をもらっていました。ファンの方々の存在が本当に大きいんだなと改めて感じたシーズンでもありました。来シーズン以降、コロナが落ち着いて会場に来られるようになったら、直接会ってお礼も言いたいし、恩返しもしたいと思っています。これからも富士通レッドウェーブの応援をよろしくお願いいたします。

 

町田 瑠唯(まちだるい)

北海道旭川市出身、1993年3月8日生まれ。コートネームはルイ、ポジションはガード。8歳からバスケットボールを始める。札幌山の手高校時代にはキャプテンを務め、高校三冠の大きな原動力となる。162センチと小柄ながら、世界レベルでも通用するスピードと得点力の高さが武器。卓越したゲームメイク能力と、無尽蔵のスタミナでコートを走り回る。