横手健 インタビュー/第62回 東日本実業団対抗駅伝競走大会

【東日本実業団対抗駅伝競走大会】横手健インタビューコラム
もう怪我の不安はありません、胸を借りるつもりで勝負したい!

――現在のコンディションはいかがですか。

9月の全日本実業団対抗陸上では、疲労がある中、駅伝に向けた走りができたと思っています。ここ数年は怪我の影響もあって、駅伝のメンバー争いに絡むことができていなかったので、今この位置にいられることにワクワクしています。

――昨年は怪我で走れない時期も。もうその不安はないのでしょうか?

昨年は7月から違和感が出て、8月末に腰に強い痛みが走りました。階段の上り下りもままならないくらい。合宿を中断して病院にいったり、その後も回復しないので再検査を繰り返すと、骨盤の中の仙骨の骨折だとわかりました。それが去年の11月。12月から軽い練習を再開しましたが、今度は膝の痛みが出て、4月に再生医療(PRP療法)を受ける。リハビリを経て本格的な練習ができたのは今年の6月。一昨年も体調が悪く、まともに走れていなかったので、本当にもどかしい時間が続いていました。でも、もう不安はありません。自分の体との付き合い方がわかってきたので、走りにも良い影響が出ています。

――怪我を乗り越えたことで、強くなれたわけですか。

自分の体の癖を知れたのは大きいですね。以前は、「やれば強くなる」と思っていましたが、しっかりと自分の体と向き合って、足りないものは何なのか、考えるようになりました。もともと体を固めて力で走るタイプで、筋力をつけることを優先的に考えていましたが、それでは今の反発シューズには向かないばかりか、故障のリスクも高まります。少しずつですが、フォームも変わってきています。以前なら使わなかった筋肉を使ったり、腕の振り方が変わったり、一歩一歩、成長を感じています。

――長距離ブロックのキャプテンとして、チームが優勝するために大事だと思うことは? チームが予選落ちして、「次こそは」というタイミングでキャプテンになりましたが、走れない時期が続き、ようやく戻ってくることができました。意図的に練習を引っ張ることもありますが、実業団としてのやり方を模索している部分もあります。
東日本実業団を走るメンバーを見れば、昨年の優勝メンバーが欠けていて、富士通の力は落ちていると思われるかも知れません。しかし、遜色のない質の高い練習はできています。いつも通り、しっかりと11月3日に合わせた調整、そして徐々に気持ちを高めていけば、面白い勝負ができると思っています。

――駅伝の魅力はどんなところに感じていますか。

駅伝は本当に好きなレース。トラックレースと同じように、闘志を持ちつつ冷静に挑むわけですが、皆で繋ぐのが駅伝です。トップで来れば、前の区間の流れを活かす走りをするし、仮に遅れたら「取り戻してやる!」って、必死の走りになる。気持ちが前面に出るのが醍醐味だと思います。


――改めて東日本実業団駅伝への意気込みと、ファンの皆様へメッセージをお願いします。

久しぶりの駅伝で、「どうやって調整していたっけ」と昔の手帳を見直しながら、調整を進めています。やるからには主要区間で勝負がしたい。どんな展開になっても対応できるのが、僕の持ち味です。久しぶりの駅伝ですから、周りの選手に胸を借りるつもりで、全力でぶつかっていきたいです。チームは東日本実業団駅伝、そしてニューイヤー駅伝と2連覇をするのが大きな目標。一丸となってそこに挑んでいきます。

 


横手 健
KEN YOKOTE

1993年4月27日生まれ。栃木県出身。
明治大学を卒業し、富士通に入社。2017年 全日本実業団選手権5000m 7位(日本人1位)、2017年 東日本実業団駅伝4区 区間賞。自身の自己記録は 5000m 13分31秒35、10000m 27分58秒40、ハーフマラソン 1時間01分37秒。