【ニューイヤー駅伝】中村匠吾インタビューコラム
「ミスなく力を出し切れば、必ず優勝が見えてくる」

【ニューイヤー駅伝】中村匠吾インタビューコラム
「ミスなく力を出し切れば、必ず優勝が見えてくる」

――いよいよニューイヤー駅伝が迫ってきました。いまはどんなお気持ちですか。

東日本実業団駅伝が終わってからも、順調に練習ができています。ニューイヤー駅伝まで、あと3週間。残りの期間、しっかりと調整して、チームに貢献できる走りがしたいと思っています。

――練習では、どんなところにポイントを置いていますか。

冬のマラソンを見据えながら、駅伝である程度長い距離を走ることを想定していますから、まずはスタミナ面ですね。また、ニューイヤー駅伝では、速いペースでレースが進むことも予想しています。前半から速いペースに乗って押していけるように、スピードとスタミナのアップにバランス良く取り組んでいます。

――レースでのポイントはどんなところになるでしょうか。

優勝するには1区から7区までミスなく力を出し切ることが不可欠です。その中で、エース区間となる3区、4区がひとつのポイントだと思っています。そこで区間賞争いができる選手が走って、5区にトップで渡すことができると、優勝に近づけると思います。チームで走る駅伝は独特の緊張があります。今年のチームのメンバーを見れば、誰がどの区間になっても力を発揮してくれると思っています。前の方で襷を受けることを想定し、しっかりと先頭争いをして、後半前に立ちたいと思っています。

――2020年は、どんな一年でしたか。

正直なところ大変な1年でした。東京2020オリンピックが延期され、緊急事態宣言も出され、モチベーションを保つこと、ピークを試合に持っていくのも難しい状況でした。7月のホクレンディスタンスから大会が始まり、徐々に目の前の試合に集中することができました。ただ試合数が少なかったので、練習に重点を置いた1年だったと思います。アスリートとして結果を表現する場は試合です。2021年はニューイヤー駅伝からいいパフォーマンスを見せたいと思っています。

――11月には久しぶりに駅伝を走りました。手応えはいかがでしたか。

目標だった優勝ができて良かったと思います。個人的には、久しぶりのレースで、前半慎重に行き過ぎた感じがありますね。先頭で襷を渡せましたが、区間賞はのがしてしまった。ただ、実戦を経験したことで、レース勘を取り戻せたと思います。ニューイヤー駅伝では、前半から積極的な走りで区間賞争いに絡んでいきたいです。


――東京2020オリンピックもある中で、駅伝はどんな位置づけの大会ですか。

企業に所属する選手として、駅伝はとても大切な大会です。東日本実業団駅伝で優勝したことで、期待も大きくなっていると思います。ここ数年は優勝から遠ざかっているので、優勝して多くの方々と一緒になって喜びたいと思っています。また、駅伝はチーム競技で、同じ目標に向かって皆でやっていけるというのが醍醐味です。今年はコロナの影響もあって、チームに合流することが多く、例年よりも「このチームで勝ちたい」という気持ちが強くなっています。

――日本一になるために必要なことは何だと思いますか。

いまのメンバーを見れば、優勝できる力は持っていると思います。あとは本番で力を出しきれるかどうかがポイントでしょう。相手があることですが、それを意識するよりも、まず自分の力を出すことが大事です。どんなレースでも、最後の5キロでどう力を振り絞るのか、ラスト1キロでどれだけ追い込めるのか、最後は気持ちの部分も大きくなります。1区からの流れも大切で、みんなで勝ちたいと思う気持ちも必要だと思います。

――2021年の抱負をお聞かせください。

元日のニューイヤー駅伝で優勝して最高のスタートを切って、8月の東京2020オリンピックで表彰台に立つことが大きな目標です。簡単なことではありませんが、表彰台を目指して、きつい練習にも覚悟を持ってやってきたので、少しでも上の順位を目指してやっていきたいです。

――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

緊急事態宣言が出された時には、「このまま練習していいのか」と自分自身で葛藤することもありました。そういった中で力になったのが、「東京2020オリンピック延期だけど頑張って」などと言ってくださった皆さんの応援でした。そんな期待に応えるためにもいい走りがしたいと思っています。今年のチームは、各区間に日本を代表する魅力ある選手が揃っています。しっかりと力を出し切ることに集中して、挑戦者として挑んでいきたいです。

中村 匠吾
SHOGO NAKAMURA

1992年9月16日生まれ。三重県出身。
駒澤大学を卒業し、富士通に入社。2018年のびわ湖毎日マラソン7位(日本人1位)、2019年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)優勝。自身の自己記録は5000m 13分38秒93、10000m 28分05秒79、ハーフマラソン 1時間01分40秒、マラソン 2時間08分16秒。