【ニューイヤー駅伝】松枝博輝インタビューコラム
「優勝と東京2020オリンピック出場へ向けて、最高のスタートを切りたい 」

【ニューイヤー駅伝】松枝博輝インタビューコラム
「優勝と東京2020オリンピック出場へ向けて、最高のスタートを切りたい」

――いよいよニューイヤー駅伝が迫ってきました。いまはどんなお気持ちですか。

日本選手権が終わってから、息をつく暇なく、準備をしています(笑)。日本選手権では、いい形で走れたので、そのままの勢いで「もう一回やってやろう」と調整を重ねています。気持ちの面でも、ずっと切らさずやるのは難しいかもしれないと思っていましたが、逆に12月に日本選手権があったことで、いい状態がキープできています。このいい状態をキープして、お正月には結果を出したいと思っています。

――レースではどんなところがポイントになると思われますか。

まだわかりませんが、自分の予想では1区か3区を走ると思っています。仮に1区を任されれば、僕の強みを活かせると思います。もともと、前や後ろと距離があって一人で走るのは苦手なタイプ。よーいドン!で、周りの様子を見ながら、仕掛けたいところで出て1番になるのが自分の持ち味。ただ、優勝を目指している以上、1番で襷を渡すだけでは物足りないはず。残りの時間でもっと良くなる準備をして、アドバンテージを作れるようにしたいです。

――ラストが見どころになりそうですね。

その日の展開によってプランは変わってくると思いますが、ポイントになるのはやっぱりラスト勝負ですね。ラスト2キロを切ってから、前へ出て行けたら最高。自分の持ち味は、ラストスパートですから、そこを楽しみにしてほしいと思います。

――日本一になるために必要だと思うことは何ですか。

実力と共に気持ちの面が大切だと思っています。誰もがきついと思った場面では、「勝ちたい」という思いが上回った方が前に出られるんじゃないでしょうか。チームが優勝を掲げている中で、いまは自分もその一員になりたいという思いが強いです。今までは上の順位を狙いながら、自分たちの流れが作れれば優勝できるという感じでしたが、今年は優勝が見えている、そこを狙っていかないといけないと思っています。また、どこまでチャレンジャーとして挑めるか、全力を出し切ることも大事です。しっかりと準備をして、全力を出して負けるのは仕方のないこと。仮にそうなっても、前向きに次の課題が見つかると思うんです。

――2020年は、どんな一年でしたか。

これまで経験できなかったことができた一年だったと思います。東京2020オリンピックが延期になって、もう一年、来年戦うぞと気持ちを切り替えられ、成長を感じています。練習することが難しい環境の中でも、自分を見失うことなく、やるべきことを一つずつクリアできた。試合がない中でも、準備を怠らなかったのは、精神的な成長ができたからだと思っています。その中で、怪我もあり、また変化を恐れずに新たなことにトライできたのも大きかった。これからもいいものは柔軟に取り入れていきたいと思っています。


――松枝さんにとって、駅伝とはどんな大会ですか。

世界一を目指して「トラックを極めたい」と思っているので、正直言えば優先順位は高くないんです。しかし、支えてくれるメンバーや会社の方々など、周囲の人たちと一緒になって盛り上がり、熱くなれるのは駅伝しかありません。そういう意味では、トラックとは違ったモチベーションで、燃える部分があります。いつもはわがまま言って迷惑をかけている方にも結果を出して恩返しがしたい、今はチームで勝つことに集中しています。

――2021年の抱負をお聞かせください。

もし1区を任されたなら、良いスタートを切って、優勝につながる流れを作りたい。その勢いは僕の目標だった東京2020オリンピックへもつながると思っています。駅伝と共に、僕の一年を占う大事なスタート、日本一に相応しいスターターになりたいと思っています。また東京2020オリンピックを狙ってきた期間が長かったので、その夢をしっかり叶えられるようにしたい。世界に挑戦する年にしたいと思っています。

――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

今年のチームはメンバーが揃っていて、最初から最後まで目が離せないと思います。全区間で勝負、見逃せない、見続けたいレースになるんじゃないかと思っています。僕も走った後は、一人のランナーとしてそんなレースの展開を見守りたいと思います。力が拮抗したチームが多く、どこが大きなアドバンテージを取るのは予想しにくく、接戦になって最後までもつれて、面白いレースになると思います。応援のほど、よろしくお願いします。

松枝 博輝
HIROKI MATSUEDA

1993年5月20日生まれ。神奈川県出身。
順天堂大学を卒業し、富士通に入社。2017年のデカネーション2000m2位、2017年の日本陸上競技選手権5000m優勝、2018年の全日本実業団駅伝3区3位。2019年の日本陸上競技選手権5000m優勝。自身の自己記録は1500m 3分38秒12、5000m 13分24秒29、10000m 28分29秒01。