松枝博輝インタビュー/第104回日本陸上競技選手権大会
どんな反応ができるのか、強い選手とのレースが楽しみ
――2週間後に日本選手権を控え、現在はどんな気持ちですか
順調に練習を消化していて、充実しています。精神的に気負うこともなく、順調に来ていると感じています。今回は強い選手が揃っているので、どんなレースになるのか楽しみにしています。
――前年覇者としてプレッシャーはありませんか
日本選手権で初優勝した時や、去年の優勝のシーンを見返すと、「もう一度味わいたい」と気分が高まります。が、去年勝ったからというプレッシャーや、プライドみたいなものはありません。自分よりも速い記録を持っている選手も出場するので、今の僕の立場は挑戦者。強い相手と走って自分がどうなるか、そんなことを考えています。
――どんなレースになると予想していますか
今回の日本選手権では、順位とタイムが大切です。皆が、そこは意識して来ると思います。標準記録を突破するには、ラスト2000mからが勝負。速いペースで進む中、しっかりと自分をコントロールし、ラストでどれだけできるのか。本当にギリギリの戦いになると思っています。綺麗に走るというよりは、どんな形でもあってもトップに居続けるようなイメージをしています。最後は皆余裕がないでしょうから、気持ちの戦いになると思います。
――標準記録は松枝選手の記録よりも、10秒以上速いタイムです
今のタイムが限界ではないし、自己ベストがどうとかではないと思っています。それを、この日本選手権で証明したい。記録を狙っていけばチャンスは広がると思っています。また来年6月にも日本選手権が予定されています。ですから今回は、いい意味で失敗してもいい大会。記録を狙って、積極的にチャレンジできるレースだと思っています。
――東京2020オリンピックを意識し始めた頃と今では、思いは変わりましたか
大学2年の時に東京2020オリンピックの開催が決まって、その時は出場することが目標でした。でも日本選手権に勝ち、結果を残せたことで、いまは出るだけじゃなく、そこで勝負したいという気持ちが強くなっています。1年1年、自分の成長を感じていて、勝ち負けの勝負をするために、僕にとって延期はプラスに作用していると感じています。
――レースのみどころ、ファンへのメッセージをお願いします
やっている僕らからみても、次の日本選手権は凄いレースになると感じています。強い選手が揃った中で、互いに高め合いながら記録を狙い、未知の領域に入った時に自分がどう反応するのか、どんな走りができるのか、本当にワクワクドキドキしています。マラソンや女子の長距離が注目されるのは、世界と戦える高いレベルであることも要因でしょう。男子の中距離でも、そんな期待を持ってもらえるように、皆さんを驚かせるようなタイムを出したいと思っています。
松枝 博輝
HIROKI MATSUEDA
1993年5月20日生まれ。神奈川県出身。
順天堂大学を卒業し、富士通に入社。2017年日本陸上競技選手権5000m優勝、2017年デカネーション2000m2位、2018年全日本実業団駅伝3区3位。自身の自己記録は、1500m3分38秒12、5000m13分24秒29、10000m28分29秒01。