塩尻和也インタビュー/第104回日本陸上競技選手権大会
これまでにないくらいの高いレベルでの争いになる
――いよいよ日本選手権が迫ってきました。現在の心境はいかがですか
試合に向けて日々練習していますが、緊張というか、ずっと試合を意識して、どう走ろうか考えています。練習は順調に消化できていて、調子も上向いています。昨年怪我をして、今年に入ってからは試合でも走りました。直近の東日本実業団駅伝でも、まずまずの走りができたので、もう怪我の影響もありません。
――今年9月末に1年ぶりに3000mSCを走られました
久しぶりに走ると、まだまだだと気付かされます。普通に5000mを走るより、距離は短いはずなのに、技術的な要素がある分、課題が見つかります。ただ、目標としていた9分切りのタイムが達成できたので、予定通りには来ています。
――日本選手権はどんなレースになると思っていますか
今回のレースで参加標準記録を突破し優勝した選手は日本代表内定が決まりますから、そこを目標にしています。8分22秒の記録を目指し、勝負に勝つことを意識して走りたい。記録を狙えば、どの選手にとってもハイペースです。前半はしっかりと我慢して、後半上げていけるかどうかがポイントでしょう。これから最終段階の仕上げの時期に入っていきますが、今の調子で行けば本番で記録を狙える状況に持っていけると思っています。
――東京2020オリンピックの延期があったシーズン、どんな一年でしたか
今年は駅伝もあったので、両方を見据えながら練習に取り組んできました。仮に、今年オリンピックがあったとすれば、できなかったことも多かったので、いい準備期間になったと思っています。3000mSCは、各選手が好タイム出しており、レベルが上っています。怪我をしている時は、誰かが好タイムを出しているのが、どうしても目に入りますから焦りのようなものもありました。今回は、そうした選手と同じレースを走ります。大変だなと思うところもありますが、楽しみ半分、あとの半分は緊張もありますね(笑)。
――「結果を残さなきゃ」というプレッシャーはありますか
多少はありますが、普段はあまり意識しないようにしています。良くても悪くても、終わった後に付いてくるものですから。とにかく全力を出すことに集中し、付いてきたものに関しては、終わった後に考えるようにしています。
――最後にファンへのメッセージをお願いします
東京オリンピックに向けて、皆が参加標準記録を目標に挑むレース。これまでにないくらいの高いレベルでの争いになると思っています。オリンピック参加標準記録の突破、日本記録の更新も期待できるのではないでしょうか。レースは前半から速いペースで進むと思います。どの選手のラストに力をためて競り合うことが予想されます。ラスト2週、残り1000mからに注目してほしいですね。他の選手に比べて、僕はラストが苦手なので負けないように頑張りたい。2000mを過ぎた時に余裕を持てるような走りがしたいと思っています。
塩尻 和也
KAZUYA SHIOJIRI
1996年11月8日生まれ。群馬県出身。
順天堂大学を卒業し、富士通に入社。2018年日本陸上競技選手権3000mSC優勝、2018年アジア競技大会3000mSC3位。自身の自己記録は、3000mSC8分27秒25、5000m13分30秒94、10000m27分47秒87。