鈴木健吾インタビュー／第104回日本陸上競技選手権大会

ハイペースになっても焦らず自分らしく攻めていきたい

――現在のコンディションはいかがですか

東日本実業団駅伝を走る予定でしたが、直前にアキレス腱に違和感が出て出場を見合わせました。練習で負荷がかかったんだと思いますが、いまは問題ありません。日本選手権に向けた練習が順調にできています。チームの状態が良く、思い切って駅伝出場にストップをかけられたお陰です。

――今はどんなことをテーマに練習されていますか？

日本選手権では日本記録ペースのレースが予想されます。ですから今は、それに近いペースをイメージして、もう一つ上のレベルの速さで練習しています。あと２週間で、さらに本格的なレースに近い環境での練習も予定しています。簡単ではありませんが、スピードをつけるためにいまはトラックに集中しているので、何としてもやり遂げたいです。

――9月の全日本実業団選手権では自己記録を更新しました。調子は良さそうですね。

正直言って、27分台は予想以上のタイムです。半年前は日本選手権に出場することは考えていませんでしたから。ですから、本番では積極的なチャレンジができると思っています。

――タイムが伸びたきっかけは？

今年、試合のない期間（春先）に、自分自身を見つめ直せたことや、マラソンからトラックへ切り替える時期に試合がなかったのが、結果的にプラスに作用したと思っています。自分に足りないこと、やるべきことを洗い出し、それを急がず丁寧に練習できたんです。けれども、トラック種目ですぐに上位にいけるほど、甘いものではないとも思っています。いまはとにかくチャレンジできることに感謝したいです。

――レースでポイントにしていることはありますか？

まずは予想される速いペースに付いていくことです。先頭集団で、前で走らなければ勝負に絡めないので。ただ、ラスト勝負になると、まだ自信が持てていないので、それ以前に仕掛けたいと思っています。今年、27分台で2回走れているのは、自信が持てる要素。ハイペースになっても焦らずに、自己記録の更新も視野に入れて走りたいです。

――改めて日本選手権への抱負をお聞かせください。

まだ日本代表を目指せる可能性があるわけで、監督からも「こんなチャンスはない」と言われています。コンディションを整え、スタートラインに不安なく立つこと。とにかく、万全の状態で挑みたいと思っています。自分でもどこまでできるのか、楽しみです。

――ファンへのメッセージをお願いします

今回はスタンドに観客も入り、テレビ中継もされる、注目度の高いレースです。自分らしく、積極的にガンガン攻める走り、決して怯まないところを見てほしいですね。気持ちは熱く、頭は冷静に。昨年のMGCでは「先に出たのが早かった」という反省点もあるので、今回は自分のストロングポイントを出せるようにしたいです。ハイペースになれば、互いに粘り合いです。初の日本選手権ですから、悔いのないように積極的な走りがしたいです。

鈴木 健吾
KENGO SUZUKI

1995年6月11日生まれ。愛媛県出身。
神奈川大学を卒業し、富士通に入社。2017年の箱根駅伝では2区で区間賞、2018年の箱根駅伝では2区で区間4位。自身の自己記録は、5000m13分57秒88、10000m27分49秒16。