ニューイヤー駅伝 特別インタビュー第4弾「椎野 修羅」

■念願の駅伝

2年目の若手が念願のタスキを受け取った。

昨年4月、富士通への門をたたいた椎野修羅。駅伝が好きと話す好青年だが、大学時代から数えても、この5年間駅伝への出走はなし。そんな彼が今年11月東日本実業団対抗駅伝でアンカーとして4連覇のゴールテープを切った。高校以来の駅伝に「駅伝をやりたいと思っていた。今回走れて良かった」とほっとした様子だった。

今回はエントリー直前にアンカーに指名され「普段あまり単独走をしないので多少焦りはあったが、去年の記録をみて、後ろからの差を詰められても負けないペースで走ろうと決めていた」と久しぶりの駅伝とは思えないほど落ち着いた表情を見せた。

6区の伊豫田達也が先頭でタスキを持ってきた姿に「本当に来たって感じ。呼ばれたのが直前だったので、もう来たって。一番で来た事にうれしさと驚きがあった」という。久しぶりの駅伝。それも東日本実業団対抗駅伝4連覇のゴールテープを切るという大役に「優勝で終えられてよかった。区間2位という順位に関しては練習の差や実力の差を感じて悔しい」と安堵の表情を浮かべつつ、悔しさをにじませた。

不調だった今シーズン

区間順位について悔しがるように、今シーズンは満足のいかなかったシーズンになった。11月25日に行われた八王子ロングディスタンスでは自己ベストを更新する走りをしたが「今シーズンは体(体力や体幹)の強化がうまくいかなかったり、試合直前に体調不良になってしまったりすることがあった。八王子ロングディスタンス前も体調を崩してしまった。理想を追い求めたがゆえに疲労が抜けず、今の体の状況と合わなかった」という。八王子ロングディスタンス後、高橋健一監督からも「そこそこじゃダメ。もっといかないと。期待感はもっと上だから」と声をかけられた。

それでも理想通り練習までは出来ていたことを考えると、この先、必ず大躍進するに違いない。

ニューイヤー駅伝に向けて

同期の飯田貴之は椎野の印象を語った。「椎野はフォームがすごくきれいで、一緒に走っているとセンスを感じる」といい、「椎野はロードよりトラックが得意な選手なので駅伝はどうかなと思ったけど、東日本で区間2位という結果に刺激を受けた」と東日本実業団対抗駅伝の走りは同期の心にも火をつけた。

「一人で走るよりみんなで競い合う方が好き」という椎野。ニューイヤー駅伝での本人希望区間は1区だそうだが、ここ最近の1区には日本代表の松枝博輝や、東海大学時代に学生駅伝で1区の経験があるスピードランナーの塩澤稀夕もいる。「(富士通は)スペシャリストしかいないので壁は高いが、ビビらずに挑戦したい」とひるまずに挑む姿勢だ。

今大会の出走を目指して「体調を崩したりだとか、ケガをしたりだとかしょうもないミスをしない」と11月までの反省を踏まえ、手ごたえを感じている練習の成果を発揮できるように準備を怠らない。

「これまでは(駅伝で走っていないため)経験の差に引け目を感じていた。だけど今回それがなくなって自信がついた」

自信をもってのびやかに走る椎野修羅に注目していきたい。

ライター:松永大介(富士通陸上競技部OB)