BTテーブスヘッドコーチ インタビュー

BTテーブスヘッドコーチ 2019-2020シーズン終了インタビュー
「どんな相手であろうとレッドウェーブらしいバスケットを貫く」

—新型コロナウィルスの世界的な感染拡大でシーズンが途中で終わりました。そのことを率直にどう思っていますか?
新型コロナウィルスの問題については、世界中の多くの人と同じ意見だと思います。仕方のないことですし、何より今はみんなが健康を第一に考えるべきときです。もちろん、リーグが中止になったのは残念です。リーグが完全な中止を発表する前、選手たちは練習しながらも「プレーオフはあるのだろうか?」と不安を抱えて大変だったと思います。それでもレッドウェーブの選手たちは一生懸命練習していましたし、その集中力は素晴らしかった。結果的に中止になったのは、繰り返しになりますが、仕方のないことです。ただ、そのなかで一番残念なのはレッドウェーブを去る選手、スタッフ、とりわけ引退を決意した選手たちがこのような形で現役を終えなければいけなかったことでしょう。

 

—途中で終わってしまったシーズンですが、振り返ってどんな印象をお持ちですか?
開幕戦で示したように、私たちにはJX-ENEOSサンフラワーズを倒す力があると思っています。結果的に今シーズンは13勝3敗でリーグ3位でした。ただ2位のトヨタ自動車アンテロープスとは勝敗数が同じですし、直接対決しないままシーズンを終えました。もしかしたら、残り6試合で、更に上位を獲得し、プレーオフに進むことができたかもしれないと考えると、少し苦い思いがあります。
それでも昨シーズンに比べると成績は上がっていますし、内容としてもよくなったと自負しています。特にディフェンス面での成長が大きく、オフェンスもまた選手たちに合ったシステムを構築できたと思います。そのおかげで選手たちに迷いがなくなり、レッドウェーブらしいバスケットを理解し、貫いてくれました。強いて挙げればシュートの確率、つまり得点力がやや下がったので、そこは来シーズンの課題でもあります。

 

—リバウンドはいかがですか? レッドウェーブの大きな課題のひとつです。
リバウンドはリーグで5位ですし、数字的にも昨シーズンと大きく変わりません。ただ相手に取られるオフェンスリバウンドのタイミング、つまり時間帯が悪いため、どうしても「またか……」という印象が強いのは確かです。それでも、リーグ終盤の練習でチーム内の5対5をしているとき「オフェンスリバウンドを取ったらプラス1点。取られたらマイナス1点」というルールで練習したところ、競争心の強い選手たちからボックスアウトへの意識がすごく高まっていくのを感じました。

 

—来シーズンに期待が持てそうですね。
はい。ただ先ほども言いましたが、得点力の課題もあります。今シーズンの平均得点が72点。以前は平均75点でしたので、3点ほど減っています。そのため来シーズンはオフェンス、特にファストブレイクでの得点チャンスをもっと増やしたいと考えています。そのためには今シーズン手応えを感じたディフェンス力をさらに上げる必要があります。より積極的なディフェンスをして、オフェンスのチャンスを増やしていきたいと考えています。

 

—5人の選手が退団しました。来シーズンに向けてのチーム構成をどう考えていますか。
人数が少ない分、ゲームに出られるチャンスは広がるのですが、やはりケガ人が出てしまうと練習で5対5ができなくなるという不安はあります。また経験豊富なベテランが引退したことで平均年齢がグッと下がりました。特にビッグマン(センター)は若くて、経験の浅い選手たちが多くなってしまったので、そこはしっかり育てなければなりません。またポイントガードのバックアップもいなくなったので、新人の岡田英里を含めて育てていきたいと考えています。

 

—BTヘッドコーチ自身は今、どのように過ごしていますか?
例年はリフレッシュも兼ねて、シーズンが終わると海外に出ていくのですが、今はそれもできないので、自宅での生活を送っています。世界のバスケットを観たり、クリニックの映像なども観ています。来シーズン、より積極的なディフェンスをするために、ゾーンディフェンスを含めて勉強しているところです。シーズン中は世界のバスケットに触れる時間がなかなか取れませんが、今は新しい考え方や、レッドウェーブに落とし込めそうなバスケットを見て、学んでいるところです。
もちろんレッドウェーブのバスケットスタイルは変わりません。ただ少しずつでも新しいことを加えていく必要はあります。それはチームが勝つためだけではありません。選手たちもモチベーションを上げるために新しいバスケットを知りたいと考えています。それに応えることも私たちコーチの仕事です。あとは1日1時間、外に出て散歩をしたり、次男とベランダでウェイトトレーニングをしています(笑)。

 

—では最後に今シーズンもレッドウェーブを応援してくださったファンおよび富士通社員、関係者のみなさんへメッセージをお願いします。
今シーズンは残念な終わり方でしたが、レッドウェーブが良い調子をキープできたのはみなさんのおかげだと思っています。毎試合、温かいご声援を本当にありがとうございました。来シーズンはよりスピーディーで、より積極的なバスケットをみなさんにお見せして、優勝したいと考えています。まずはファイナルまで駆け上がって、どんな相手であろうとレッドウェーブらしいバスケットを貫きたいと思います。来シーズンも、今シーズン以上のご声援をよろしくお願いいたします。

 

BTテーブス

カナダ出身、1966年2月18日生まれ。1993年より指導者の道を歩み始め、2013年にレッドウェーブのアソシエイトヘッドコーチ、2014年ヘッドコーチに就任。指揮をとった2014-2015シーズン、2015-2016シーズンにはWリーグ、プレーオフ・ファイナルへ進出、チームを準優勝へと導いた。その後、2016-2017はBリーグサンロッカーズ渋谷ヘッドコーチ、2017-2018はBリーグ富山グラウジーズアシスタントコーチを経て、昨季から再びレッドウェーブのヘッドコーチとして指揮を執る。