2026-27シーズン開幕直前インタビュー
#81 宮下 希保
――まずはキャプテン就任の経緯を教えてください。
宮下 シーズン終了後のスタッフ面談のときに日下光ヘッドコーチからキャプテンをやってほしいと打診を受けました。私自身、ミニバス時代も含めて、これまでキャプテンをやったことがなかったので、「自分にできるのか」と悩みましたが、アース(宮澤夕貴)さんにも相談する中で、「責任感を持つことでプレーも変わるのではないか」という言葉ももらい、決断しました。
――決断した理由をもう少し詳しく聞かせていただけますか。
宮下 当初はアースさんみたいに引っ張れるのかという不安があって、どちらかというと後ろ向きだったんです。でもよく考えてみると、アースさんも、日下ヘッドコーチも、誰にでも言っているわけではないし、「キホに任せてみよう」と思ってくれたこと自体が嬉しいことだと思ったんです。そのときに自分はどういうキャプテンになろうか、チームにどうアプローチしようかと考えて、先輩たちもたくさんいらっしゃるし、自分だけの力ではなく、私に足りないところは先輩たちに補ってもらいながら一緒にチームを作れたらいいなという気持ちになれたんです。助けてくださる先輩たちがいることがこれまで以上に心強く感じられて、ならばやってみようと決断しました。
――宮下選手の考えるキャプテン像はどういうものですか?
宮下 今まではアースさんのようにチームを引っ張る人がキャプテンだと思っていました。でも私はアースさんのようなキャプテンではなく、自分のできるキャプテンでいいんじゃないか。アースさんからも「キホはキホだから」と言っていただいて、私は引っ張るよりも先輩たちと後輩たちをつなげたり、選手とスタッフつなげたり、つまりは上に立つというより、みんなをひとつにまとめて、みんなで一緒に上がっていくキャプテンが私らしいのではないか。どこまで口にしていいのか、どこまで頼っていいのか、まだまだ戸惑いはあるんですけど、キャプテンとしてチームをつなげることを何よりも大事にしたいなと思っています。

――チームは昨シーズンをセミファイナルで終えています。その結果を踏まえて、今シーズン、新キャプテンとして、どういうチームにしていきたいですか?
宮下 レッドウェーブのバスケットが土台としてありつつも、コート内外で個々の強みを生かせるチームにしたいと思っています。というのも、今のレッドウェーブには経験豊富な先輩たちがいて、一方の若手はそれぞれの大学で主力としてチームを引っ張ってきた選手たちです。そういった選手が年齢やキャリアに関係なく、もっと自分を出せるようにしたいんです。自分勝手を許すというわけではありません。例えばミーティングのときなどに、それぞれが自分の意見を率直に交換できるチームにしたいんです。風通しのよさがありながら、一人ひとりがレッドウェーブを引っ張るという思いを持って試合に臨めば、もっと強くなるんじゃないかと思っています。
――そこを宮下キャプテンがつないでいくわけですね。
宮下 そうです、その思いを伝えるためにも、まずは私自身が動かなければいけません。正直なところ、私は「自分から動く」ことが苦手というか、これまで人についてきたタイプなので、キャプテン就任をきっかけに自分のそうした殻も破らなければいけないと思っています。
――宮下選手自身は3x3の日本代表活動もあり、チームへの合流は遅れたと思いますが、現状のチームをどのように見ていますか?
宮下 率直に言えば、チームとしても、個々それぞれとしても、まだまだプレーオフに行けるチーム状態ではないと思っています。ただし私の経験上、Wリーグの上位を争うチームや、日本代表活動に多くの選手を輩出しているチームは、シーズンが始まるときと終わるときで大きく変わります。つまりレギュラーシーズンの試合を重ねる中でよりよいチームになっていくわけです。そう考えると、今は未完成のチームですが、ここからよりよくなっていくんだろうなと期待しているところです。
――とはいえ、今月末には、そのレギュラーシーズンが開幕します。開幕までにチームで身につけておきたいことは何ですか?
宮下 勝ち癖です。チームが成長していく過程にはさまざまなことがありますが、結果は勝ち負けで現れます。内容の悪い試合でも勝ったら「1勝」ですし、内容のいい試合しても負けたら「1敗」です。そう考えると、どんな試合でも勝ち続けなければいけないと私は思っています。プレーシーズンマッチから勝つことにこだわりながら、「勝ったけどここがダメだったよね」と、勝ってからの反省を大事にしていきたいと思っています。昨シーズンは最後に勝ちきれない接戦がいくつかありました。そういった接戦になったときも勝ちきる経験を、プレシーズンマッチを通して、身につけていきたいと思います。
――宮下選手自身は、今シーズン、どう戦いたいと考えていますか?
宮下 3x3の日本代表活動を通じて手応えがありました。そこで身につけたことを5人制でもやってみよう、レッドウェーブに還元しようって思って、チームに合流しましたが、競技特性の違いもあって、まだうまく落とし込めていません。継続して練習していきますが、やはり3x3の宮下希保ではなく、レッドウェーブの宮下希保としてやるべきこと、チームのアドバンテージを作ることを与えられた役割の中でしっかりやっていきたいなと思っています。
――具体的にはどういうことでしょうか?
宮下 私は基本的に4番ポジションでプレーすることが多いのですが、それでも昨シーズンは何度か3番ポジションでもプレーしました。今シーズンも複数のポジションでプレーすることがあると思います。どのポジションでコートに立ったとしても、与えられた役割をしっかりやりきることがひとつのテーマです。たとえば今シーズンから加わる外国籍のサム(フ―リング サマンサ ジェーン)は外角のシュートも得意な選手なので、自分が誰と出ているのかまで理解しながら、「チームは今、ここが足りていないよね」と気づいて、状況に順応できるプレーをしたいと考えています。

――今シーズンのチームの目標を聞かせてください。
宮下 チームの目標は「王座奪還」です。ただ、個人的には少し角度を変えて表現したいと思っています。というのも、ファンの皆さんや富士通に関わりのある方々は優勝したレッドウェーブを見たうえで「王座奪還」と言っています。それは間違いないことですが、昨シーズンからヘッドコーチをはじめとしてチーム構成が大きく変わっています。富士通としては王座奪還を目指していますけど、個人的には新しいレッドウェーブとして優勝したいなと思っています。「取り戻す」というよりは、新しいレッドウェーブで王座を「取りに行く」。そうした思いも自分の中では大切にしたと思っています。
――では最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。
宮下 いつもたくさんの応援をありがとうございます。会場で応援してくださる方々や、配信等で見て応援のメッセージくださる方々がいて、レッドウェーブはいろんなところで応援されているんだなと、シーズンを重ねるごとに実感しています。そうしたファンのみなさんがレッドウェーブの強みでもあります。昨シーズンは「いい顔をしてプレーできていない」とご心配もさせましたが、その昨シーズンを経たからこそ、今シーズンはみんなで前を向いて、いい顔で戦っていきたいと思います。今シーズンも引き続き温かいご声援をいただきながら、みなさんも私たちと一緒に戦ってくれたら嬉しいです。今シーズンもよろしくお願いします。
