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富士通陸上競技部 2011シーズン 新人紹介


世界の舞台へ向け『決意の一歩』 高橋 萌木子

彗星のように現れたトップスプリンター

 高橋萌木子の名前が、女子陸上短距離界に刻まれたのは2003年。当時、中学3年生だった彼女はソフトボール部に所属。「陸上は大会に出るだけ」の少女だった。そんな高橋が、いきなり全国大会で200m優勝、100mで2位となったことは、少なからず世間に驚きを与えた。それから高橋は、瞬く間に国内トップスプリンターの地位を確立していく。

 埼玉栄高校入学後に高橋は、史上初となるインターハイ100m3連覇の偉業を達成。2006年9月にマークした100m:11秒54のジュニア日本記録は、未だに破られていない大記録だ。平成国際大学進学以降も、その才能はさらに輝きを増す。2009年には100m:11秒32、200m:23秒15と、共に日本歴代2位のタイムを記録。そして昨年行われた日本選手権200mでは、福島千里選手(北海道ハイテクAC)を0秒01上回り優勝を飾った。高橋が日本の女子短距離を牽引する存在となるのは間違いない。ただ、彼女がこれだけの選手に育ったのは、いつも周りに強力なライバルがいたからとも言える。

 高橋は最初、ソフトボール選手を目指す少女だった。6歳から始めた野球では、俊足を生かして1番ショートで活躍。小学5年生の時に学校の先生の勧めで陸上クラブにも入ったが、中学校でもソフトボールが最優先。陸上は大会だけに出る形だった。しかし、彼女に転機が訪れる。「中学3年生の時、夏の大会で負けてソフトボール部を引退した後、全国中学陸上大会の200mで優勝して国体選手に選ばれたんです。それで結果が4位だった。年上の選手もいたので仕方がない部分もあったが、自分の中でそれがすごく悔しくて"陸上で行こう"と一気に進路を変えたんです」。

「ライバルがいるから速くなれる」

 高校から本格的に陸上を始めた高橋は、100m・200mの短距離において、すぐ日本のトップクラスの選手となった。100mでは、インターハイ史上初となる3連覇を達成。向かうところ敵なしの強さを見せた。しかし、200mで頂点に立てなかったことが、再び高橋に火をつける。「本当は高校で陸上はやめて、またソフトボールに戻るつもりだったんです。でも、高校3年生のインターハイで100mは優勝しましたが、200mは2位だった。それが悔しくて、陸上を続けることにしたんです」。

 大学でも陸上を続けた高橋は、1年生の2007年に関東インカレ100m・200mで優勝。さらに日本選手権100mで初優勝を飾り、ついに国内でトップに立つ。しかし、ちょうどその翌年、2008年頃からは新たなライバル福島千里選手が浮上する。「大学でも、今度は福島さんが出てきて負けてしまって、再びやめられなくなりました(笑)」。

 それから数年、女子短距離界ではこの2人が熾烈なトップ争いを繰り広げている。2009年には0秒01差での接戦を何度も繰り返したが、その中で高橋は確実に成長を遂げ、100mと200mで自己ベストを更新。そして2010年日本選手権200mでは、福島選手を100分の1秒差で下し優勝を飾った。しかし本人は、「あの時は100分の1秒差で勝ちましたが、その前に100分の1秒差で3回負けているので…。まだ借りは返せていませんし、もっと差をつけられる勝負がしたいなと思いました」と、気を引き締める。

 高橋の陸上人生には、常に強力なライバルが存在してきた。しかし、その度に高橋は、より速くなった。「ライバルがいなかったら今の自分はいない。負けたくないから、どうやったら速くなれるか考えるし、色々なトレーニングにも取り組む。それが自己新にもつながりましたし、ライバルがいたから、より速くなっている感覚はあります」。高橋は今までも目の前の壁に挑戦し、そして乗り越えてきた。だから彼女は、これからも成長をやめない。

社会人として踏み出した、世界への一歩

 そして、ライバルとの戦いや国内外の大会で得た経験は、高橋の心も徐々に変えていった。「高校時代から先生には『世界やオリンピックを目指して』と言われてきましたが、自分は世界に対するこだわりが全然なくて、"温度の差"を感じていました。でも、年を重ねるごとに色々な経験をして、少しずつ世界で戦いたいという気持ちになってきました」。

 自ら望んで富士通入社を決めたのも、その気持ちの表れと言える。「大学4年生までは、先のことも考えていませんでした。でも、自分からお願いして先生にも協力してもらい、富士通さんとお話させていただいたんです。富士通には、同じ短距離の塚原さんや高平さんがいるので、刺激になる。今年8月には大邱(テグ)での世界陸上、来年にはロンドンオリンピックと目標とする大会が続きますが、世界の舞台で最高のパフォーマンスを発揮するため、富士通という環境を選びました」。そう力強く語る高橋に、もう迷いはない。

 「学生だった時はどんな結果であれ、自分だけの責任でしたが、これからは富士通の高橋として走ることになる。だから、今まで以上に走りを追及していかなければいけないし、より身体のケアが重要だと思っています。今シーズンの第一目標は、100mと200mの世界陸上参加標準記録Aを突破すること。その後でまた、新しい目標を見つけていきます。そしていずれは、100mで11秒00や10秒台を目指したい。最終的には世界のファイナリストに残りたいと思っています」。社会人として踏み出した一歩。その道は、必ず世界につながっていると信じて——。新たな決意を胸に歩み始めた高橋の活躍に、期待せずにはいられない。


プロフィール
高橋 萌木子 [ たかはし ももこ ]

1988年11月16日生まれ 埼玉県出身
埼玉栄高校、平成国際大学を経て2011年4月富士通入社。
2007年世界選手権(大阪)、2009年世界選手権(ベルリン)日本代表。今夏、韓国=大邱で行われる世界選手権と、2012年のロンドンオリンピックの日本代表を目指す。

自己ベスト :

100m 11秒32
200m 23秒15

高橋 萌木子 [たかはし ももこ]