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陸上 富士通陸上競技部


FIELD EYE 鈴木 雄介
テグへ、その先のロンドンへ

世界陸上代表内定も・・・

悔いが残る日本選手権優勝

「勝って、世界陸上(8月27日開幕・韓国・テグ)に内定したことは良かったのですが、目標には遠く及ばなかったので、悔いが残るレースでした」。インタビューの冒頭、2月に行われた日本選手権20km競歩での優勝について聞くと、鈴木は喜んだ表情は見せずこう続けた。「森岡さん(富士通)と藤澤さん(綜合警備保障)がこのレースに向けて調整していた訳ではなく、僕だけがこのレースに照準を合わせて調整してきていたので、今回は勝たせていただいた感じでした」。

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今回の日本選手権、鈴木は序盤から飛ばした。途中の10 kmまでは日本記録を上回るペースだった。鈴木の持ち味はハイペースを維持しながら歩けるところだ。一方、同じ富士通の森岡は後半のスピード、そして爆発力を持っている。「今回は前半からハイペースに持ち込んで、森岡さんをある程度、余裕を持って引き離せたのが勝因だと思います」。

それでも鈴木が悔しがる理由はタイムだ。「完璧とまではいきませんが、ある程度記録が出るだろうという自信があったレースでしたが…」。記録は1時間21分13秒。目標としていた自己ベストの1時間20分06秒に1分以上届かなかった。それでも参加標準記録Aを破っての優勝で世界陸上の代表に内定した。「最低限の結果は残せたのかなと思いますが、自分の目標から言えば、最低目標にも届かなかったので、満足感のない大会でした」。

世界陸上までに

「今回は自分のペースでレースを作っていけましたが、世界では自分より速い選手がいる中で、自分のペースを守れないと勝負ができない」と世界で戦うことを見据える鈴木。日本では鈴木がペースを作って、レースを作ることができるが、世界ではそうはいかない。どんなペースでも余裕を持って歩けることが、これから世界で戦うための課題となる。

今後の予定は4月に国内の大会で調整した後、5月にイタリアのミラノで行われる国際競歩グランプリの20kmに出場予定だ。世界陸上に内定したので、8月の本番までの調整が組みやすくなった。「グランプリではどのぐらいのレベルの選手が出てくるのかはわかりませんが、上位を狙った歩きができればと思います」。

鈴木にとってはこの大会が、世界での現在位置を確認するレースになる。「そういう意味で今度のレースは大事です。自分の想定としては、集団の中にいてラスト5 kmのあたりで勝負に出て、勝てればと思いますが、その通りにいかないのが試合なので、自分の調子をみながら、できる限りの歩きをしたい」。


瞬く間に日本のトップに

競歩が盛んな街に生まれて

鈴木の出身地は石川県能美市で、メジャーリーガーの松井秀喜選手と同じだ。ここは毎年3月に「全日本競歩能美大会」が開かれるなど、陸上競技や競歩が盛んな場所だ。鈴木も小学生から陸上競技、その中でも長距離を始め、中学生から競歩の世界に入った。きっかけは長距離種目に出られない選手たちが、誰でも参加できる競歩の大会に出たことだった。「練習もしていないので、散歩に毛の生えたぐらいのスピードでしたが、僕はその中で結構速かった(笑)」と鈴木。長距離では中学でも真ん中より下のレベルだったが、競歩では速い方だった。

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そして2年の時、ほとんど練習せずに競歩の県大会に出ることになった鈴木だが、コーチから「練習をせずに県大会に出たら、トップから何周も周回遅れにされるよ」と脅かされたことで、本格的に取り組むようになった。もっとも競歩に決めた動機はトップになろうではなく、「仲の良い友達も一緒にやることになったので、練習をうまくサボれるかな」という不純?なものだった。しかし、3年生では中学新記録をマークするなど、鈴木はあっという間に全国レベルの選手になっていった。

高校は地元の進学校に進んだ鈴木。この頃には将来、世界大会を目指せるのではと周囲が期待し、本人も少しずつ、世界やオリンピックも意識しはじめた。そして日本代表としてアジアジュニアや世界ユースに出場。それぞれ5位、3位と結果を残すものの、「自分の歩きができず、勝負ができない感じの記録だったので、悔しかったですね」と、世界との差を実感した。

世界で戦うということ

そして大学は順天堂大学を選んだ。「決めた理由は森岡さんがいたということが一番大きかった」と鈴木。今は富士通で同僚となった森岡は2学年上。鈴木が高校3年の時、すでに大学2年で日本選手権優勝を果たし、日本の第一人者となっていた。「世界で優勝するために、どの大学に行くのがいいのかを考えた時、森岡さんと一緒に練習することが自分の成長につながると思いました」。

世界を目指して順天堂大学に進んだ鈴木は、世界大会に常時出場するようになる。ユニバーシアードは2年生で参加した2007年大会では4位だったが、4年生の2009年大会は13位。2009年大会は世界陸上で上位を狙える選手たちが多く参加し、鈴木は世界との差を改めて感じた。「レベルが違いました。自分の実力をそこまで持っていけませんでした」。

ユニバーシアードの直後に、世界陸上ベルリン大会に初出場したものの、「ユニバーシアードがダメで、ベルリンも準備不足でした」。日本選手権で2位となり出場権を掴んだ鈴木だったが、世界陸上は42位に沈んだ。「出場が決まった時はすごくうれしかったのですが、大会が終わった後は、ただ参加しただけでつまらないなと…」。その後、鈴木は森岡の後を追い、富士通への入社を決意する。


世界で一番になる夢

アジア大会後の心の変化

社会人になった鈴木だが、しばらくの間いい成績を残すことができなかった。「入社して半年間ぐらいは自分の思ったように練習ができず、もやもやした気持ちがあったり、大会でもいい結果が残せなかった」。しかし、昨年11月の広州アジア大会で鈴木は飛躍のきっかけを掴んだ。大会には十分調整して臨んだにも関わらず、結果は5位に終わった。「アジア大会は初めて、上位が狙えると思った状況だったのに、何もできなかったことがすごく悔しかった」。

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この大会後から鈴木の練習に取り組む姿勢は大きく変化した。それまではコーチに言われたメニューを漠然と消化するだけだったのが、「今は自分から提案して、こういう練習をしていきたいということを伝えて、練習に取り入れてもらうようにしました。それによって、練習に対する気持ちの持ち方も変わってきました」。

鈴木が主戦場にする20km競歩は、駆け引きが重要だ。「前半では余裕を持てるように、そして最後の爆発的スピードもしくは、後半ハイスピードでどんどん押していける実力が伴ってこないと、駆け引きもできないので、まずは実力が必要です」と鈴木は言う。

勝負の2年間

そして今回の日本選手権初優勝。それでも鈴木は「まだまだ余地はあると思います。練習の感覚は昨年のアジア大会前からいい感覚を持ってきていたので、その感覚を試合で出せるようになれば、もっと上にいけると思う」と自分の伸びシロを感じている。そして課題も明確だ。「練習のいい感覚を試合で出し切る調整や、気持ちの持っていき方が、足りないと感じています」。

鈴木は世界で一番になると中学の時に決めたそうだ。「それがどんどん現実的なものにはなっているのかなと思います。目標が近づいてきているので、こうやれば世界一になれるという考えが持てるようになってきました」。改めて競歩という競技を続けていたことについて聞くと、「やってきて楽しかったです。競歩で一番を目指していく過程が楽しいですね」。

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そんな鈴木にとって今年、来年は勝負の時だ。「テグの世界陸上出場と、ロンドン五輪を目指していくこの2年で世界のトップに入らないと、その先いくら続けていても、世界大会にただ出ているだけ選手になってしまうと思う」。世界陸上での目標は入賞となる8位以内。「そのくらいの成績でないと、自分の中では世界へのスタートは切れないと思っています」。来年に迫ったロンドン五輪、そこで戦うためにもまずは夏の韓国で結果に期待したい。


プロフィール

鈴木 雄介

鈴木 雄介
(すずき・ゆうすけ)

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[締切] 2011年4月11日(月) 12時まで

※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
※個人情報の管理はニフティ株式会社が代行いたします。

鈴木選手あれこれ

  • 2月の日本選手権では富士通の選手が、男女それぞれで1・2着。「富士通の競歩が、日本のトップになってきたかなって感じですね。これからは僕がもっとがんばらないと。今後は20kmと10000mで常に1番を取れるようになりたいですね」。
  • 男子は鈴木選手の他、森岡選手、女子は川崎選手と大利選手の4人が所属する富士通競歩チーム。仲はいいんですか?と聞くと、「いいですよ。川崎さんにはバレンタインに手作りのバナナケーキをもらいました。僕のお気に入りなんです」。
  • 服が好きって聞きましたけれど…。「買うのはシーズンに何着かって程度です。着る機会も少ないので(苦笑)」。基本はジャージですもんね!「でも、富士通のジャージでも、自分なりにかっこよく着ているんだぞ、っていう雰囲気を出しているつもりです(笑)」。オシャレ好きなんですね!
  • 服以外の趣味は?「他は特にないですね。服は全般的に集めています。社会人になってからはスーツやネクタイも集めているんですが、最近はネクタイが結構増えましたよ」。
  • 所属はテクニカルコンピューティングソリューション事業本部。大利選手と一緒に富士通幕張システムラボラトリに勤務しています。同じフロアですが、少し離れているそうです。「職場の皆さんにも応援していただいています」。
  • 休みの日は家でごろごろしているという鈴木選手。「何かをしようと考えていたら、それで1日が終わったりしています」。意外に大物かもと思った取材陣でした。
  • 好きな食べ物、嫌いな食べ物は?「好物は豚肉系、レバ刺し、焼肉ですね。焼肉は毎日は無理ですけど、豚肉は毎日でもオッケーです。豚カツが特に好きです。試合前には験担ぎも込めて豚カツをよく食べます。海外に行った時も、嫌いなものがないので、大体おいしく食べちゃいます」。
  • それでは地元、石川県でお勧めの食べ物は?「お寿司ですね。個人的には石川県が、一番食べ物がおいしいと思っています。どこのお店でもおいしいですよ。そんな環境だったんで、少しグルメになったかも。特に魚にはうるさいです」。

取材・文/NANO Association

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FIELD EYE

FIELD EYEとは?

観客席から観ただけでは決して感じとる事のできない選手ひとりひとりのストーリー。

陸上への想い、悩みや葛藤、そして素顔の部分など、選手自身の言葉で語っています。

今後もFIELD EYEでは選手に密着取材し、富士通陸上競技部の選手を紹介していきます。