富士通

 

  1. ホーム >
  2. スポーツ活動 >
  3. 富士通陸上競技部 >
  4. FIELD EYE(堀籠 佳宏)


陸上 富士通陸上競技部


FIELD EYE 堀籠 佳宏
勝利の方程式 理論×実践+根性

負けず嫌いの気持ち+努力

異色の理系ランナー

「昔から勉強が好きだったんです。特に数学や物理などの理数系。“走り”の理論が好きで、高校生ぐらいの時から膝の関節角度を調べたり、理系的な発想をしていました」。幼い頃は研究者を夢見ていたという、異色のランナー堀籠佳宏。400mで45秒77の自己ベスト持ち、4×400mリレーではオリンピックや世界選手権など、数々の世界大会を経験。そんな彼は、陸上界きっての論理的思考の持ち主でもある。それは初めて陸上競技と出会った頃から変わらない。

photo

堀籠が陸上競技を始めたのは小学校の時。当時、堀籠は、チームスポーツに対して一種の疑問を感じていた。「本当は野球がやりたくて、地域のチームでピッチャーをやっていたんです。でも、打ち取っても後ろがエラーしたりするのが納得できなかった」。そんな中、堀籠の運動能力に目をつけた先生が、彼に陸上競技を勧める。努力次第で明確に成果が得られる陸上競技との出会いは、彼にとって必然だったのかもしれない。堀籠は地元の陸上クラブで、キャリアを歩み始めた。

しかし、元々足が速い方ではなかった堀籠は、中学校でも初めは顕著な成績を残せなかった。「1年生の時に出場した100mでは、100人の中でも下から数えた方が早かった」という。だが、逆にそれが彼の闘志をかき立てた。「このまま終わるのがイヤで、2年生から自主練習を始めたんです。神社の階段をダッシュしたり、家の周りの坂を走ったり。それで3年生になって、県大会の400mで4番になりました。練習すれば結果が出る感覚を、初めて知った瞬間でした」。ただ、この好成績でも堀籠に、陸上競技の道へ進む考えは一切なかった。

「陸上競技での高校進学は全く頭になかったです。数学が好きで研究がしたかったので、公立の進学校を選びました」。勉強好きな堀籠らしい判断と言える。

勉強と運動の両立が生み出した効果

高校時代、運動よりも勉強が盛んな進学校で、学業とスポーツを両立させていた堀籠。「部活は続けようと思っていましたし、予習しないと授業がわからないので勉強もちゃんとしていました」。勉強と運動の両立は難しいが、彼にとってはそれが良かったのだろう。高校1年生時に、陸上競技での成績も抜群に伸びた。

「その頃から、自分でどうトレーニングをすれば良いか考えるようになったんです。そうしたら、試合に出る度にタイムを更新できた。無駄なことをやっていない自信があったので、当時は気持ち的にも盛り上がっていました」。高校生活で、着実に実力を伸ばした堀籠は、国体の400mで入賞するほどの強豪選手に成長する。そして、その後の進路に悩む。

「理工か体育専門か、どちらに進むか悩みました。第一志望は国立の理工学部でしたが、日本体育大学のコーチに乳酸値のデータなどを見せてもらって、“本格的に陸上競技を研究する”というアプローチもあるなと思ったんです。だから、陸上競技と理論が合致した大学を選びました」。最終的には、自分の頭と体の両方の能力を最大限に生かす道を選択した堀籠。しかし、大学では様々なギャップに苦しむことになる。


基礎と仲間の大切さ+理論の追求

学んだ基礎の大切さと仲間の存在

大学に進学した堀籠を苦しめたのが、陸上部の練習方法の違いだった。「高校までの部活は、アットホームな雰囲気で自由にやっていましが、大学は上下関係が厳しく、靴下やシャツの色まで決まっていた。ギャップだらけの環境で精神的にも苦しかったですね。1年生なので、自分でこういう練習をやりたいとも言えず、決められた練習をやるしかありませんでした」。

photo

ただ、堀籠は当時を振り返り「今考えると逆にそれが良かった」と語る。「高校時代に走り込みを全くしていなかったので、基礎体力がなく、体も細かったんです。でも、大学の筋力トレーニングや走り込みで段々と身体ができてきた。振り返ってみると、今までやっていなかったことをやれたのが大きかったと思います」。

地道な努力を重ね、結果的に実力は伸びた。「大学1、2年生でベースを作り、3年生の関東インカレで自己ベストが出せたんです。それをきっかけに、全国大会で決勝に残れるような選手になれました」。しかし、実感したのはそれだけではない。「同級生の存在も心強かったですね。学年ごとの結束が強く、苦しくても頑張ろうと言ってくれた。それは大きかったです」。机上の理論だけではなく、人間的な面を重視するのも堀籠の良さだ。

飽くなき研究の積み重ね

その後、大学4年の関東インカレを最後に、堀籠は一度競技から離れることになる。日本体育大学の専攻科に進学し、指導者としての勉強をするためだった。しかし、そこでコーチ論や心理学を学ぶうちに、現役に生かせると感じるようになった。「自分なりに研究し論文などを集めて、新しい考え方や練習法を学びました。その時の知識は今も役立っています」。

そしてその年、堀籠はついに日本代表選手の一員としてユニバーシアード代表に選ばれる。ただ、その時の感想も彼らしい。「そんなに嬉しくはなかったです。それよりも自分のやってきた成果が出たことに満足できました」。これで、堀籠の心はひとつの方向へと走り始めた。「理論だけじゃなく、努力や根性など全てが噛み合って日本代表になれた。こうなったら上を目指そうと思い、大学院に進学してさらに走りを研究することにしたんです。血液とか走りの力学的なことまで、完璧に学ぼうと思って」。

改めて、陸上競技一本の道を心に決めた堀籠は、研究に没頭した。「日々、自分の筋肉量を計ったり、乳酸の溜まり方を人と比べて弱いところを強化したり、心理の授業や自己催眠も面白かった。中でも数字をまとめるのが好きでした」。そして、堀籠は2005年ヘルシンキでの世界選手権に4×400mリレーの選手として選ばれることになる。それは、彼の飽くなき研究心がもたらした、成果と言えるだろう。


富士通×未来=最後の証明

富士通でとことんやってみたい

photo

その2005年ヘルシンキ世界選手権で堀籠は、当時富士通に所属していた佐藤光浩とチームを組むことになり、この出会いが後の進路を見出す。「陸上競技を続けたい想いがあって、大学院2年生の頃にヘルシンキで、佐藤さんに話を聞いたのが富士通入社のきっかけとなりました。富士通のことを色々聞いて、そこでとことんやってみたいなと思いました。それで、先生に相談して声をかけて頂いたんです」。自分のベストな道を探し続け、最終的に堀籠がたどり着いたのは、富士通で頂点を目指すという選択だった。

2006年の富士通入社以降、2006年ドーハアジア大会4×400mリレーで4位入賞などの実績を残してきた堀籠。自身の中でも最も印象深いのは、北京オリンピックである。その記憶は、やはり特別だ。「大会前に怪我をしていたんですが、どうしても出たかったので、あらゆる化学治療を駆使して調整しました(笑)。大会は世界選手権など比にならないくらい桁外れでしたね。イメージの中では収まらない。言葉にすることはできません」。

結果的には予選敗退だったが、堀籠はそれで終わる気はない。「また出たいですね。今度は出るだけでなく、結果を残したいです。僕としては、日本代表になることが目標ではなく、世界大会で上位になるには、どうすれば良いかを考えてやっていきたいです」。

証明終了の日に向けて

堀籠は今年を、技術面などで新しい取り組みを試す年と位置づけている。ただ、今年6月に行われた日本選手権では、決勝のレース中に負傷。最後は走れなくなる悔しい展開で大会を終えた。「右足のふくらはぎを肉離れして、右足をかばっていたら今度は左が痙攣して、何もできなくなりました。決勝前のウォーミングアップで足に違和感があったので、不安を抱えながら走った状態です」。

photo

ただ、今回のレースも挑戦と区切りをつけて、堀籠は新たな目標へ進み始めている。「日本選手権は自己ベストを出すのが目標でしたが駄目でした。次は、全日本実業団と国体。今だからこそできることに、チャレンジしていきたいと思っています」。富士通きっての戦略家は、じっくりと今後のプランを練り上げている。「今、ちょっと面白い構想を持っているんですが、言えません(笑)」

今までずっと理論を研究し、新しい世界を開拓してきた堀籠。彼は、今までの陸上人生を振り返り、「陸上競技の方程式」をこう定義する。「“理論×実践+根性”が世界で結果を出す。理論だけでなく、それを実践することが大事で、かつ根性が必要なんです」。それをいつか証明する日まで、堀籠は走り続ける。「世界大会で結果を出したい。それが、今までやってきたことの最後の証明だと思っています」。それが実現した日こそ、彼の研究は本当の証明終了を迎えるのだ。


プロフィール

堀籠 佳宏

堀籠 佳宏
(ほりごめ・よしひろ)

プロフィール詳細はこちら


堀籠選手のサイン色紙を3名にプレゼント!

応募する

[締切] 2010年8月18日(水) 12時まで

※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。
※個人情報の管理はニフティ株式会社が代行いたします。

堀籠選手あれこれ

  • 「多趣味が趣味」と言えるほど、様々なことに興味を持っている堀籠選手。「好きなものは、読書にコーヒー、経済雑誌を読むこと、ホームページのHTMLを組んだりプログラミングもします。数学の問題を解くのも好きですね。とりあえず色々手を出してみて、自分に当てはまれば続けるし、当てはまらなければ、やりません」。
  • 読書が好きという堀籠選手。特に好きな作品を聞くと、「三国志が好きです」。出ました、世の中の多くの男性を虜にする三国志。好きな登場人物はいますか?「荀彧(ジュンイク)という曹操の参謀だった人ですね。参謀の考え方が好きなんです」。納得の答えです。
  • 理想とする指導者はいますか?「たくさんいます。その方々の良いところをまとめたいと思っています。そんな堀籠式の指導法を確立させたら、次はどうやって人に伝えるかを考えますね。そういったシステムを構築することに興味があります」。
  • そもそも、理屈っぽいって言われませんか?「言われます」。奥さんはそれについて…「妻がそういうのを全然考えない人なので、うまく話が合うというか。妻もコーヒーが好きなので、一緒にコーヒーショップに行って飲みながら喋るのは楽しいですね」。理屈っぽいところとリラックスしたところと、うまくバランスの取れている堀籠選手。これからも、自分なりに研究を進めていってくれるでしょう。

取材・文/NANO Association

富士通直販サイトWEB MARTにて、FMVパソコン好評販売中!

FIELD EYE

FIELD EYEとは?

観客席から観ただけでは決して感じとる事のできない選手ひとりひとりのストーリー。

陸上への想い、悩みや葛藤、そして素顔の部分など、選手自身の言葉で語っています。

今後もFIELD EYEでは選手に密着取材し、富士通陸上競技部の選手を紹介していきます。