FIELD EYE 名木 洋子(#45 F)
挫折の先にたどり着いた自分の居場所
みんなに愛されるムードメーカー
インタビュー中、名木の前を多くのメンバーが通り過ぎた。みんなそれぞれ一言ずつ、名木のことを“いじって”いく。「名木は本当にいい奴ですから」(佐々木アシスタントコーチ)。チーム内で愛される名木のキャラクターを、象徴するような反応だった。「今季のチームは雰囲気がいい」と各選手は口を揃えるが、名木はまさしくムードメーカー的な存在だ。
新生RedWaveを担う選手として、チームの支柱になりつつある名木。入部3年目となる今季は、ついに副キャプテンを任されることになった。彼女はその心中を「不安もありますが、やりがいも感じます」と語る。「確かに雰囲気は良いけど、大事なところは締めないといけない。少しずつ意識して変わりたいと思います」。
新体制で出発したチームは7月中旬のサマーキャンプを全勝で終え、上々の仕上がりを見せた。ただ名木は、「あの時は他チームもまだ仕上がっていない状態だった。あのサマーキャンプを最低レベルとして、もっとあげていかなければいけない」と常に上を見据える。「昨シーズンは、その前年の優勝もあってリーグ開幕までに整えればいいだろうみたいな感じで入ってしまって、結局、結果が残せなかった。でも、今年はひとつひとつがリーグにつながると思って大事にしたい」。王座奪還を目指すチームは徐々に、その姿を現し始めている。
チームのスタイルを体現するプレーヤー

名木自身が今シーズン掲げる目標は、「調子に波がない、安定感のあるプレーヤーになる」こと。「調子の悪い時はディフェンスもできなくなって、コートにいても邪魔みたいなことがありました。それは絶対になくしていきたい。もちろん、得点にもこだわっていきたいですね」。昨季、一試合平均15.14得点を記録し、チーム内得点ランキング2位につけた名木。この力がコンスタントに発揮できれば、チームの大きな武器となるはずだ。
俊敏さとパワーを兼ね備えた名木のプレースタイルは、RedWaveが目指す“平面状で走り負けないバスケットボール”に、とてもマッチしている。「今のチームは、決まったセンターがいるわけじゃなくて、みんながオールラウンド的なプレーをする。そういうスタイルが、すごく自分に合っていると思いますし、実際にやりやすいです」。
「昔、センターをやっていたこともあって、ゴール下でガツガツ勝負するのも好きですね。だから、ダイナミックな力強いプレーでアピールしていきたい」。コートネームのパルは“パール(真珠)のように輝く”の意。チームの中で、精神面でもプレー面でも輝きを放つ存在。それが名木というプレイヤーだ。
一度目のWJBL
名木は高校卒業後に一度、WJBLのチームに所属していたが、出場機会に恵まれず、再び大学に入り直して4年間プレー。RedWaveで再びWJBLの舞台に返り咲いたという、異色の経歴の持ち主だ。

背が高いこともあって小学校時代からミニバスに誘われていた名木だが、最初はバスケットボールを敬遠していたそうだ。結局、プレーをはじめたのは中学校から。高校も全国大会ベスト8に入るほどの力はなかった。しかし、バスケットボールの面白さを知った名木は、高校卒業後に企業チームの日立戸塚入りを決意する。
「レベルの差は感じましたね。日立戸塚の時も、全然試合に出られなくて…」。個人としても難しいシーズンを送っていた名木だが、さらに入部から1年でその日立戸塚が廃部に。苦境に立たされた名木は、「もう少しバスケットがしたい」という強い思いを胸に、強豪シャンソン入部を決めた。
しかし、そこでも大成は望めなかった。「シャンソンの時も全然使ってもらえなくて、バスケットが何なのかもわからなくなってしまって…。もう辞めたほうがいいかなとも考えました」。結果、シャンソンも名木は1年で離れることとなる。それは人生においての大きな挫折だった。
大学で手に入れた自信と自身
しかし名木は、諦めずにバスケットボールを続けることに決めた。戦いの舞台は大学。入学を手助けしてくれた桜花学園大学のコーチに感謝しながら、そこで新しい仲間と自信を手に入れた。
「企業チームで2年プレーしていた時は、全然試合にも出られなかったですし、精神的にも余裕がなくてシュンとしていました。でも大学に行ったら、企業チームで戦った経験があるから、やらなければという思いもありましたし、気持ち的にも余裕ができました」。結果的に、大学4年間でインカレも経験し、満足のいく結果を残すことができている。その経験で得たものは、この言葉に集約されるだろう。

「チームに必要とされることが、すごく嬉しかった。だから楽しくやれたんだと思います。バスケットに没頭して、みんなでひとつのチームとして勝ち進んでいくのが、すごく楽しかった。良い経験だったって、今も思います」
RedWaveに入部し再びWリーグの舞台に帰ってきた名木の姿は、もう別人のようだった。「大学を卒業したら、もう即戦力じゃないといけない。だから、絶対1年目から試合に出るぞと、強い気持ちで臨むことができました。今は、やっぱりフォワードの同じポジションの選手とマッチアップしたら負けたくない気持ちはありますね(笑)」。回り道したからこそ得られた、自信を持ったプレーと、自身の存在価値。それが現在の彼女の居場所を見つける道しるべとなったのは間違いない。

- 名木 洋子
- (なぎ・ようこ)

- F(フォワード)

- 45
- チーム内でも一番手の“いじられキャラ”として、みんなの人気者となっている名木選手。本人曰く「みんなが面白くいじってくれるから、面白い人と思われがちだけど、別に私自身はそんなに面白くないです」とのこと。「へこんだりしちゃう、ガラスの心の持ち主ですから…」。みなさん優しく見守ってあげてください。
- 仲が良いのは#51中畑恵里選手、#10市野育代選手、#8鈴木あゆみ選手など。特に中畑選手とは6歳も差がありますが「なんか、ちょっかいを出すと面白いから」、よく遊んでいるそうです。
- 45番をつけている理由は?「マイケル・ジョーダンが復帰した時につけていたのが、45番だったんですよ! っていうのは後付けの理由で、洋子(45)です(笑)」。
- お父さんがとても協力的だそうで、試合は何回も見に来ているそうです。「自分でビデオ持ってきて試合を録画して、家でもずっと見てるみたいなんですよ」。きっと今シーズンの開幕戦も来るだろうとのこと。いいプレーが見せられるといいですね。
取材・文/NANO Association





