FIELD EYE 船引 まゆみ(#7 F)
バスケットボールへの 想いが繋いだ 姉妹の絆
ベテランとしての存在価値
皇后杯3連覇に2007-08シーズンWリーグ優勝と、富士通RedWave黄金期を支えた姉妹プレーヤー、船引かおりと船引まゆみ。しかし、姉かおりは昨シーズン終了と共に引退。精神面での大事なパートナーがいなくなり、今後の動向が心配された船引まゆみだったが、RedWaveでプレーを続ける選択をした。

船引まゆみが、2歳年上の姉に誘われRedWaveの一員となったのは2001年。愛知学泉大学卒業後に期待のルーキーとして入団した船引は、1年目から15試合中14試合にスタメン出場し、強烈なインパクトを残した。それから早くも8年。「姉が辞めたので、もうチームの中で一番上ですね」。自由奔放なプレーで攻撃を牽引してきた船引も、もうチーム一のベテランである。
もちろん、今季の目標は『王座奪還』。だが船引個人としては、メンバーをまとめ勝利に導くリーダーシップも、ひとつの課題となる。「経験から来る試合勘は後輩たちと違うから、大事な場面での一本などはリードして欲しいと岡里ヘッドコーチから言われますね」。大幅に若返ったチームにとって、強気のプレーで流れを引き寄せる船引の存在は、大きな精神的支柱となるだろう。
バスケットボールがどんどん楽しくなっている
自ら「私のプレースタイルはアグレッシブさ」と、攻撃的プレーを身上とする船引まゆみ。今季、岡里明美ヘッドコーチが掲げるスローガンも“アグレッシブな守備と攻撃”である。7月中旬に行われた三重でのサマーキャンプ2009でも、チームはその片鱗を見せ、全勝で大会を終えた。船引にとっても、今年のチームが目指すプレースタイルはよく合っている。
「入部当初、RedWaveは決まりごとの多いバスケットスタイルでした。それも楽しかったけど、中川さん(元Redwaveヘッドコーチ・現日本代表監督)が来てから自由なスタイルになって、もっと楽しくなってきた。岡里ヘッドコーチも、同じようなバスケットスタイルなのでプレーしやすいです。チームのみんなも仲が良いですし、めちゃくちゃ雰囲気はいいですよ」。
一方、年齢的な部分では、自らも状況の変化を感じているようだ。「体にも限界が来ていて、そこが申し訳ない感じはありますね(笑)」。そこで船引に、肉体的な面でも「まだこれからもやれるのか」と質問をぶつけてみた。彼女は答える。
「やりたいなって思うバスケットをしています。今もどんどん楽しくなっていますから」。理想を追い求める姿こそ、船引まゆみにふさわしい。
姉の弱さを初めて見て
船引まゆみのキャリアを語るには、姉である船引かおりの存在が欠かせない。昨季終了後、かおりが引退するのと一緒にまゆみもバスケットボールを辞めるのではないかと、周囲は心配した。それほど彼女たちの繋がりは深い。しかし、そんな2人も「高校まではすごく仲が悪かった」そうだ。2人の間に何があったのか。

船引まゆみがバスケットボールを始めたのは、姉かおりの影響からだ。「私の育った所では、当時女子ができるスポーツといったらミニバスケットしかなかった」。小学校時代、強豪チームに所属していた姉についていって、入部したバスケットボール部。その後、船引姉妹は小・中と同じ学校へ進学するが、年齢差から同じコートに立つことはほとんどなかった。また、まゆみは姉に対して、良い印象を抱いていなかった。
「昔からケンカばかりでしたね。姉はマジメで、私が子供すぎたんです。コンプレックスではないですが、何か“気取っているな”って感じで(笑)。姉ちゃんは何もやらなくても何でもできるみたいなのが、気に入らなかった」。
だが、姉妹の関係に転機が訪れる。姉かおりが愛知学泉大学に入り、全国レベルの壁を感じて「バスケットを辞めたい」と、泣いて家に電話をかけてきたのだ。当時、高校2年生だったまゆみは、今まで見せなかった姉の苦悩を知る。「姉ちゃんも泣くんだ、バスケットを辞めたいって言うんだ、とびっくりしました。その時は『姉ちゃんに期待しているから、監督も怒るんだよ』ってアドバイスして、頑張ってと言ったんです。普段は怒られ役の私が、逆に姉ちゃんにアドバイスしていて、びっくりしちゃいましたけど」
バスケットボールを続けたから得られたもの
それから、姉妹の仲は一気に近づいた。大学も「お姉ちゃんが絶対来て欲しいと思っているだろうと思って同じ大学に行った」。そこで初めて実現した姉妹の共演。まゆみはフォワードとして、かおりは主にガードとして同じコートに立った。「息が合うなぁとは思いましたね。姉ちゃんのパスでシュート決めようって気持ちは、すごくありました」。

船引姉妹がいた頃、愛知学泉大学は無敵を誇った。姉と共に全国制覇を経験し、まゆみは在学中にインカレ4連覇を達成。「4年間負け知らずで、超楽しかったです」。卒業を迎えた船引まゆみは、大学バスケットボールに全身全霊で打ち込んだ分、社会人でプレーを続ける気はなかった。だが、姉の「一緒にやりたいから」との誘いを受け、姉が所属するRedWaveへ入部。それから、姉妹とチームの快進撃が始まる。しかし昨季、かおりが引退。だが、姉が辞めても、まゆみはRedWaveに残った。
「もう姉ちゃんとは一緒にプレーできないんだから、一緒に辞めようという気にはならなかった。それに、まだバスケットを続けたいっていう気持ちが強かったんです」。今まで姉と共に二人三脚で歩いてきた道を、これから船引はひとりで歩むことになる。
そんな気持ちになれたのも、今までプレーを続けてきたからこそ。バスケットボールはいろいろなものを船引まゆみに与えた。「どんなに苦しくても、バスケットをやれるのが、とにかく嬉しかった」。その気持ちがある限り、船引まゆみはこれからも未来へ前進していく。

- 船引 まゆみ
- (ふなびき・まゆみ)

- F(フォワード)

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- 休みの日は買い物に行ったり、スーパー銭湯に行ったりするという船引選手。よく行くスーパー銭湯では、けっこうRedWaveのメンバーにも会ったりするのだとか。やっぱりお風呂は、体を休めるのに最適ですよね。
- 今ハマっているのは、海外ドラマの「プリズン・ブレイク」。シーズン1から全部見ているそうです。他にもチーム内に愛好家がいるようで、「ヨウ(#13石川麻衣選手)とアオイ(#21有明葵衣)もハマっていますよ」。
- 家で毎日出迎えてくれるのは愛犬“チョコちゃん”。「あまり吠えないものの、けっこうやんちゃ。人が好きで勝手に寄っていっちゃうんですよ。自転車とかにも行っちゃうから危ないんですよね」。ペットは飼い主に似ると言うが、果たして…。
取材・文/NANO Association





