FIELD EYE 鈴木 あゆみ(#8 CF)
選んだ道の正しさを証明するために
憧れた選手のもとで見つけたやりがい
昨シーズン、期待の新人として富士通RedWave入部を果たした鈴木あゆみ。バスケットボールの強豪である北海道・札幌山の手高校を卒業、筑波大学時代にはインカレ制覇を経験するなど、その経歴は輝かしいものがある。また、この7月には台湾でのジョーンズカップU-24日本代表にも選出され、新しく生まれ変わったRedWaveの未来を託される選手のひとりである。

そんな鈴木の売りは、スピードを生かしたドライブ。180cmの恵まれた体格を持ちながらも、俊敏に動けるのが彼女の強みだ。2年目を迎える鈴木にとっても、今年は勝負の年。今季の目標を聞くと、「今年は女性ヘッドコーチということでも注目されているので、チームとして結果を残したい」と力強く語ってくれた。それは、憧れの選手だった岡里明美ヘッドコーチのためでもある。
大学時代、教員になることを考えていた鈴木は、夏合宿で一緒になった岡里からアドバイスをもらっている。「絶対に現役を続けた方がいいと言われて、すごく心が動きました。それで富士通入りを決めました」。だから今年は、「アケさん(岡里ヘッドコーチ)になってやりがいが増したと言うか、バスケットに取り組む姿勢も少し変わった」。今シーズンに賭ける思いは強い。
『王座奪還』を果たしたい理由
現在(6月末)、チームは体力づくりを中心とした段階を終え、実践的なプレーの練習に入ったところだ。7月中旬のサマーキャンプ、そしてWリーグ開幕戦に向け、メンバーに連帯感が生まれている。「一人でも“まぁいいか”みたいな選手がいると、それが出てしまう。今年のチームはみんなで頑張らないと良い結果は出ない、という雰囲気があります」。彼女自身も1年目より集中して練習できている。「1年目はいろいろ考え過ぎた部分があったのですが、今シーズンは去年より良い感じで打ちこめている気がします」。経験を得て成長した鈴木は、得点も求められる立場となる。
「ベテランが抜けて、若手と中堅中心のチームになりました。その中でアケさん(岡里ヘッドコーチ)には最初に、『2年目だからおんぶにだっこではなく、プレーでみんなを引っ張って欲しい』と言われました。まずは自分自身がしっかりやって、その後で周りをバックアップするような動きができれば、と思います」。
もちろん、チームはまだ未完成。ただ「モチベーションは去年より高い」と彼女が話すように、チームの意識は確実に勝利に向いている。「勝ち負けのかかった厳しい場面を考えると、今のままではダメだと思います。今後は、いい意味でもっと厳しくしていきたい」。シーズン開幕に向けて「楽しみと不安の両方がある」と鈴木は言うが、目標は明確だ。「去年、痛感したのは、「やはり結果を残さないと駄目な世界」だということ。だから、今年は去年以上の結果を残して、自分たちのチームが一番だと言いたいんです」
人生を変えたコーチとの出会い
背が高くて走れる器用な鈴木。そのルーツは北海道にある。姉に誘われてミニバスケットボールを始めたのは小学校4年生の時。その頃から、ハードな走り込みを行なうなど「結構、練習は厳しかった」そうだ。今のプレースタイルは、この経験が大きかったと思われる。中学校で入ったチームはそれほど強くなかったが、県選抜チームのメンバーに選ばれた。「たぶん体が大きくて走れるから、呼んでもらえたのだと思います」と鈴木。ただ、この経験が彼女の今後を決める。バスケットボールの強豪、札幌山の手高校から声がかかったのだ。彼女は最初、入学するか迷っていた。だが、最終的に入部を決意。「それからですよね。人生変わったのは(笑)」。

「高校に入る前、札幌山の手高校のコーチから『絶対良くなるから』と言われて入学を決意したのですが、入部してからは散々ですよ。怒られてばっかりで、選択を間違ったかなと思いました(笑)」。だが、この頃からU-24日本代表に選ばれたり、毎年全国大会を経験するなど、鈴木の才能は高く評価されていた。そして、鈴木の持つ力を伸ばしたいと、人一倍親身になってくれたのがこの上島コーチだった。
「教員を目指していたので大学進学を考えていました。でも、コーチに猛反対されて…」。上島コーチは、高卒で企業チームに入った方が伸びると考えていたようだ。だが、「ここで負けたら絶対後悔すると思って、進路決定最後の日に、筑波大学へ行くって担任の先生に伝えました」。この時、上島コーチとは「時間をかけて徐々に仲も持ち直しましたけど、大学進学を決めた時は最初、口もきいてくれなかった」という。
間違いじゃないと証明したい
もちろん、筑波大学での経験も鈴木にとって、大きなものになった。しかし、その根底には常に上島コーチへの思いがあった。「(上島コーチは)ひねくれている方なので(笑)、絶対応援はしてくれませんでした。だから、見返してやろうと思いました(笑)」。
そして筑波で鈴木は、インカレ優勝1回に関東女子大学リーグ戦4連覇と、大きな功績を残す。ただ、それも簡単だったわけではない。「有名な選手が多く集まったチームでしたが、1年生の春に酷い負け方をして…。それがきっかけで、夏はすごく練習しました。それで初めて優勝して、そこからはリーグ戦ではずっと負けなしでしたね」。この経験を鈴木自身も大きな財産だと思っている。「挫折から始まったので、その後の3年間も勝ち続けなければいけないと思いました」。
しかし、それほどの選手になっても鈴木は、大学卒業後に教員になるかバスケットボールを続けるかで悩んだ。実際、卒業前には地元の教員採用試験を受け、就職直前まで行っている。だが、やはり企業チームでのプレーを諦めきれなかった。そんな時に思い浮かんだのが、高校時代の上島コーチだった。鈴木は事情を説明して、企業チーム入部を手助けしてもらう。教員採用直前だった鈴木の申し出に、上島コーチは『お前はいつもそうだな』と憎まれ口を叩きながらも、RedWaveへの道を開いてくれた。「私が今ここでバスケットやっているのは、上島コーチがいたから」。鈴木は感謝の気持ちを忘れない。
今でもその上島コーチから連絡はあるのだろうか。「私に直接電話はかかってこないのですが、富士通にいる札幌山の手高校の後輩、大熊祐衣に電話がかかってきて『ダイ(鈴木のコートネーム)元気か?』って聞くらしいです」。では、鈴木から電話は? 「私も絶対、自分からはしませんよ(笑)」。
敬愛する恩師がいるからこそ、鈴木は負けられない。だから彼女は強い気持ちで語る。「RedWaveで勝って、今までやってきたことは間違いじゃないということを証明したい」。彼女の恩返しは、まだ始まったばかりだ。

- 鈴木 あゆみ
- (すずき・あゆみ)

- CF(センターフォワード)

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- 好きな食べ物は、本人曰く「モソモソしたもの」。ケーキで言ったらパウンドケーキとか、コロッケなどの口の水分を取られるような食べ物が好きなのだとか。ちょっと変わっている…?
- チームメイトで仲がいいのは、#51中畑恵里選手、#10市野育代選手、#45名木洋子選手など。休みの日には一緒に映画を見に行ったり、買い物に行ったりもするそうです。
- コートネームは「ダイナミックなプレー」の『ダイ』。でも本人としては、大学時代の「キラキラ輝け」で『キラ』の方が可愛いくて、気にいっていたそうです。「ダイってつけられて最初はイヤでしたよ。そりゃ、女性ですから(笑)」
- 得意なプレーは「大きい選手を外に引っ張りだして、外から仕掛けて中にドライブしていくのが好きです」。試合の時にはぜひ注目してください!
取材・文/NANO Association





