リクシルディアーズとの開幕戦を、30-0の完封勝利で飾ったフロンティアーズ。2戦目のアサヒビールシルバースター、3戦目の東京ガスクリエイターズにも勝利し開幕3連勝。連覇へ向けて順調なスタートをきった。
17年シーズン、フロンティアーズには10名以上の新人が加入。日本一になった16年とは違う、新たなチーム作りが行われていた。藤田HCは、「新人が多く入ったことは、チームにとっていい刺激になりました。ただ、例年より開幕が早かったので夏場の練習には気を使いました」。やり過ぎてもダメ、やらな過ぎてもまとまらない。そんなジレンマがあったという。そんな中、テーマにしていたのは、失敗を恐れずに挑戦すること。「チームが強くなるには、現状に満足せず挑戦することが欠かせません。しかし、新たなことに取り組んだ際には失敗がつきまといます。それを怖っていては上にはいけません。選手たちには、躊躇せずプレーしようと話していました」(藤田)。
3連勝を飾ったフロンティアーズだったが、4戦目のパナソニックインパルスには、終始リードを許し敗戦。秋のリーグ戦では2012年シーズン以来の敗戦だった。「もう完敗でしたね。選手たちもショックだったろうし、自分たちのプレーができなかったフラストレーションもあったと思う。ただ、まだシーズンは続く、これからどうすべきかを考えられたのは大きかったですね」(藤田)。負けはしたものの、何をすべきか、再確認できたことが収穫だった。 パナソニックインパルス戦レポートを見る
リーグ最終戦とセミファイナル、2度顔を合わせたオービックシーガルズ戦は、どちらも激闘だった。リーグ最終戦は台風が接近する中での試合。約45分間にわたり中断もあった。試合再開後は、一時的に雨が弱まりフロンティアーズが先制。しかし、終了間際にシーガルズが追いつき、延長タイブレークに。先行のシーガルズの攻撃をFGに抑えたフロンティアーズが、その裏にタッチダウンを決めて勝利を手にした。「嫌な同点のされ方でしたが、それ以上に我々が集中していたのが勝因。流れを覆す集中力が勝利につながったと思う」(藤田)。
“どこかのチームと2度やることになる”、現在のシステムでは避けて通れないことかもしれない。エレコム神戸ファイニーズとのクォーターファイナルに勝利したフロンティアーズは、セミファイナルで再びシーガルズと対峙した。舞台となった富士通スタジアムは、4000人を超えるファンが詰めかけた。藤田HCは「前回やれなかったことをやろう」と選手に声をかけたという。試合はフロンティアーズが先制を果たすも、その後は守り合い。7−0の緊迫した展開が続いた。「動きそうで動かない凄い試合でしたね。試合の流れを考えると焦ってしまう、だからいつもと同じ、目の前のプレーに集中しようと、ただそれだけ考えていました」(藤田)。試合は最後まで守り切ったフロンティアーズが勝利。スタンドを埋め尽くしたファンを、最後まで釘付けにした試合だった。
オービックシーガルズ戦レポートを見る
Xボウルの相手は、セミファイナルでインパルスを破ったIBMビッグブルー。昨季のセミファイナルで、残り5秒で逆転のFGを決め紙一重で勝利をもぎ取った、手強い相手だ。「どっちになってもやることは変わりません。一度負けた『インパルスともう一度』と考える選手もいたと思うが、私自身はセミファイナルで頭が一杯でしたから、次も一筋縄ではいかない、しんどい試合になるという意識しかありませんでした」(藤田)。
試合がはじまると、フロンティアーズフェオンスの良さが際立った。口火を切ったのはWR#84猪熊。試合開始のキックオフでボールをキャッチすると、ブロックの間を駆け抜け、なんと99ヤードのキックオフリターンタッチダウン。QB#3キャメロンとWR#81中村のホットラインも爆発し、中村は大会記録を更新する203ヤードのレシーブでMVPに。終わってみれば63-23の大会最多得点記録も更新する記録的な勝利となった。「全てが上手く噛み合った今季一番の試合だったと思います。前後のプレーや試合の流れに左右されることなく、皆が目の前のプレーに集中する。何があってもブレることなくプレーできたのが、最高の勝利をもたらしたと思います」(藤田)。 JAPAN X BOWL IBMビッグブルー戦レポートを見る
社会人王者として2年連続ライスボウルの舞台に立ったフロンティアーズ。相手が27年ぶりに出場する日本大学フェニックスとあって、東京ドームには前年を上回る3万5千のファンが詰めかけた。
フェニックスのオープニングシリーズをパントに抑え、迎えたフロンティアーズは、1プレー目にスペシャルプレーを繰り出す。「ボウルゲームなので、勢いをつける意味でも考えていたプレー、決まれば格好良かったんですが(笑)」。最初の攻撃はパントに終わったものの、徐々にペースをつかんだフロンティアーズは、タッチダウンを量産。前半を14点リードで折り返すと、後半も追加点を上げ最終スコア37−9で勝利。2年連続3度目の日本一に輝いた。
「最高の形でシーズンを終えることができて、本当に嬉しく思っています。最後も良い勝ち方で連覇ができた。周囲からは、すぐに3連覇と言われますが、そんな先のことはまだ考えられません。来季もまたイチからチームを作ってと言う感じ。良いものは残しつつ、変化を厭わない、挑戦し続けていくチームでありたいと思います」(藤田)。 RICE BOWL 日本大学フェニックス戦レポートを見る
今季のチームスローガン“PROVE IT”を体現したフロンティアーズの面々。来季も最高のフットボールを見せてくれることだろう。
第1節:8月27日(日曜日) | ○30-0 | LIXIL DEERS(富士通スタジアム川崎) |
第2節:9月10日(日曜日) | ○45-23 | アサヒビールシルバースター(富士通スタジアム川崎) |
第3節:9月23日(土曜日) | ○59-0 | 東京ガスクリエイターズ(富士通スタジアム川崎) |
第4節:10月1日(日曜日) | ●9-24 | パナソニックインパルス(ヤンマーフィールド長居) |
第5節:10月15日(日曜日) | ○44-13 | アサヒ飲料クラブチャレンジャーズ(アミノバイタルフィールド) |
第6節:10月29日(日曜日) | ○13-10 | オービックシーガルズ(横浜スタジアム) |
11月11日(土曜日) |
○34-7 | エレコム神戸ファイニーズ(横浜スタジアム) |
11月26日(日曜日) |
○7-0 | オービックシーガルズ(富士通スタジアム川崎) |
12月18日(月曜日) |
○63-23 | IBMビッグブルー(東京ドーム) |
1月3日(水曜日) | ○37-9 | 日本大学フェニックス(東京ドーム) |